海外展開を検討する日本企業にとって、台湾は越境ECの有力な進出先として注目されています。EC化が進んでおり、親日的な文化や整備された物流・決済環境が、参入時の負担を軽減する要因となっています。
本記事では、台湾市場の基本的な特徴をはじめ、主要なECモールの情報や成功に向けた取り組み方、注意すべきポイントまでを丁寧に解説し、初めて越境ECに取り組む方の一歩を後押しします。
台湾の越境EC市場が注目される理由

日本市場の成長が鈍化するなか、海外展開を模索する事業者にとって台湾は注目のターゲットとなっています。スマートフォンの普及率やインターネット環境の充実、物流・決済インフラの整備など、越境ECを展開するうえでの土台が整っているのが特徴です。ここでは、台湾市場がなぜ越境ECの進出先として選ばれているのか、その背景に迫ります。
台湾のEC市場は成長を続けている
台湾のEC市場は近年、著しい成長を遂げています。現在の市場規模は約2兆7,000億円に達し、EC化率は19.3%と日本の約3倍に及びます。スマートフォンやWi-Fiの普及率も高く、ECは日常生活に深く根付いています。加えて、共働き世帯や未婚者の増加により、利便性の高いオンラインショッピングがさらに浸透しました。このような背景を踏まえると、今後も2桁成長が続くと見込まれ越境ECにとって非常に有望な市場といえるでしょう。
スマホの利用率が高くEC導入がスムーズ
台湾ではスマートフォンの普及率が非常に高く、EC利用のハードルが低い環境が整っています。全インターネットユーザーのうち97%がスマホを利用しており、日常的にSNSやECアプリを活用している点が特徴です。さらに、都市部では無料Wi-Fiスポットが広く整備されており、通勤中や外出先でも快適にオンラインショッピングが楽しめます。
こうした背景を踏まえると、モバイル端末に最適化されたECサイトを構築し、SNS広告を導入することで、現地ユーザーとの接点を自然に生み出すことができます。結果として、越境ECへの参入障壁を下げることにもつながるでしょう。
物流・決済インフラが整備されている
台湾では物流や決済のインフラ整備が進んでおり、越境ECの参入ハードルが比較的低い点が大きな魅力といえます。配送に関しては、主要都市間であれば24時間以内の配達が一般的となっており、コンビニでの受け取りにも広く対応しています。さらに、決済手段も充実しており、クレジットカードだけでなく、ATM振込やコンビニ後払い、電子マネーなど、現地の利用者に合わせた方法が整っています。
このように、スムーズな購入体験を提供できるインフラが整っていることでユーザーの購買意欲が損なわれにくく、初めて越境ECに取り組む事業者にとっても心強い支えとなります。
越境ECで台湾を狙うメリット

台湾市場は、越境ECに取り組む日本企業にとって非常に魅力的な選択肢です。日本製品への信頼の厚さや親日的な文化背景に加え、EC化率の高さやインフラの整備、消費意欲の強さといった要素がそろっています。また、台湾での成功経験は、将来的な東南アジア展開にもつながる可能性を秘めています。ここでは、台湾をターゲットとするメリットについて具体的に見ていきましょう。
日本製品への信頼度が高い
台湾市場では「日本製=高品質」という認識が根強く、日本製品への信頼は依然として非常に高い水準にあります。化粧品や健康食品、日用品にとどまらず、冷凍食品や雑貨においても“安心・安全・高機能”といった価値が広く浸透しており、現地消費者の購買意欲を引き上げる要因となっています。
実際には、台湾国内の商品であっても「北海道」や「日本式」といった表現が用いられることがあり、日本ブランドの持つ訴求力の大きさがうかがえます。こうした信頼性は、越境ECを展開する企業にとって大きな強みとなり、価格以上の価値を感じてもらえる重要な要素といえるでしょう。
親日家が多くマーケティングが展開しやすい
台湾は、世界有数の親日国として知られており、日本文化や製品に対する関心の高さが際立っています。日本への渡航経験を持つ人も多く、訪日旅行のリピーター率は8割を超えるとも言われています。このような背景から、日本企業の商品やブランドは現地で強い信頼を得ており、プロモーションも受け入れられやすい土壌が整っています。
さらに、SNSを活用した情報発信やインフルエンサーとの連携も現地で効果を発揮しやすく、日本で培ったマーケティング手法をそのまま応用しやすい点も大きな利点と言えるでしょう。
未婚率の高さによる購買意欲の高さ
台湾では未婚率の上昇が続いており、特に都市部では男女ともに30%を超える水準に達しています。この傾向は晩婚化や共働き世帯の増加とともに広がっており、独身者が自由に使える可処分所得も増加しています。とくに女性は「欲しいものは我慢せず買う」という消費志向が強く、ファッションや美容、健康関連の商品に対して積極的にお金をかける傾向が見られます。
こうした背景を受けて、越境ECにおいては「自分へのご褒美」や「限定感のある商品」への関心が高まりやすい状況にあります。価格の安さよりも商品の価値やストーリー性に魅力を感じてもらえるような訴求が、より高い効果を生むといえるでしょう。
高いインターネット普及率と利便性
台湾はインターネットの普及率が非常に高く、全人口の約9割が日常的にネットを利用しています。さらに、MRT(地下鉄)やカフェなどの公共施設では無料Wi-Fiが整備されており、場所に縛られず快適にインターネットを使える環境が広がっています。こうした通信インフラの充実は、ECサイトの閲覧やSNS経由でのスムーズな購入を可能にし、越境EC事業者にとって大きな後押しとなるでしょう。
加えて、台湾ではコンビニでの受取や後払いといった利便性の高いサービスが広く浸透しており、オンラインでの購買体験に対するユーザーの満足度も高水準を維持しています。これらの要素が相まって、台湾市場は越境ECを展開するうえで魅力的な環境といえます。
限定品や高付加価値商品のニーズが強い
台湾市場では、限定品や高付加価値商品のニーズが非常に高く、とくに「日本でしか手に入らない特別な商品」への関心が強い傾向にあります。有田焼や南部鉄器といった伝統工芸品、アニメキャラクターの公式グッズ、日本限定コスメなどは、希少性と品質の高さが評価され、高価格帯でも購入意欲を保ちやすい領域です。
多くの消費者は「自分だけの特別なもの」に価値を見出しており、数量限定・期間限定といった表現が効果的に響きます。単なる商品の紹介にとどまらず、「ストーリー性」や「文化的背景」を含めて伝えることで、より強い訴求力を生み出せるでしょう。
東南アジア進出へのステップとして適している
台湾は東南アジア進出を目指す企業にとって、最適な足がかりとなる市場です。日本からの距離が近く、かつ中国語圏に属しているため、台湾での越境EC運営の経験は、マレーシアやシンガポールなど他の華人圏市場にも応用しやすい特徴があります。また、台湾系のコミュニティは東南アジア各地に存在しており、台湾市場で得た販売ノウハウは、地域全体での展開にも役立てることができます。
まずは台湾において、繁体字対応や物流手配、SNS運用などの実務を通じて越境ECの基盤を整えることで、東南アジア市場への進出に向けた実践的な準備が可能となります。
越境ECで台湾を狙うデメリット

台湾市場は越境ECの有望な進出先として注目される一方で、見落とされがちなリスクも存在します。法規制や税務対応、文化的な違いに起因するトラブルなど、進出後に壁にぶつかるケースも少なくありません。特に個人輸入の制度や返品習慣、現地決済の整備状況などは、日本とは大きく異なる点です。ここでは、台湾向け越境ECにおける具体的な注意点を確認し、事前に備えておくべき課題について見ていきましょう。
関税・営業税などの税務処理が複雑
台湾で越境ECを展開する際に見落とされやすいのが、税務処理に関する複雑な対応です。とくに台湾国内に商品を在庫する場合は、関税と営業税の両方を考慮する必要があります。関税については、商品カテゴリごとに異なる税率が定められており、事前に確認した上で戦略的な仕入れを行うことが求められます。
一方、営業税は台湾国内での売上に対して5%が課税され、インボイス価格と販売価格をもとに計算されます。こうした税務対応を怠ると、予想以上に利益が圧迫される恐れがあります。安定的な運営を目指すうえでは、適正な価格設定や帳簿管理を徹底し、必要に応じて現地の専門家と連携を図ることが重要です。
EZ WAY(易利委)の義務化によるハードル
台湾で越境ECを展開する際に注意すべき制度のひとつに、2020年から義務化された「EZ WAY(易利委)」があります。これは、通関時に台湾の個人購入者が実名登録を行い、モバイルアプリ上で申告することを求める仕組みで、主に少額の個人輸入取引を対象としています。
この制度により、購入者が事前登録を行っていない場合、商品が通関できずに返送されるおそれがあり、スムーズな取引を妨げる要因となります。さらに、輸入件数や取引頻度によっては関税免除が適用されないケースも想定されるため、運営者側はあらかじめ購入者に対して丁寧な案内を行うことが重要です。あわせて、配送フローの見直しも視野に入れる必要があります。
薬事法・景品表示法などの法規制に注意
台湾で越境ECを展開する際には、現地の法規制を十分に理解したうえで対応する必要があります。とくに化粧品や健康食品を取り扱う場合は、台湾の「薬事法」に基づき、適切な成分表記や販売許可の取得が求められます。加えて、消費者に誤解を与える過剰な表現は、「景品表示法」に抵触するおそれがあり、企業の信頼性に大きな影響を及ぼしかねません。
日本語パッケージのまま販売することは認められているものの、広告や商品ラベル、説明文などは繁体字中国語での表記が基本とされています。ローカライズを怠ったまま販売を行えば、消費者から通報される可能性もあり、炎上リスクに直結します。そのため、事前に専門家の確認を受けるなど、慎重な対応が求められます。
返品・交換対応のコストと手間
台湾向け越境ECでは、返品や交換への対応が事業者にとって大きな負担となる場合が少なくありません。特に、日本から直接発送する形式では、国内に返品受付の拠点がないと対応に時間がかかり、結果として顧客の不満を招くおそれがあります。加えて、台湾では商品到着後7日以内であれば返品可能というクーリングオフ制度が一般的に浸透しており、返品率が高めである点も無視できません。
そのため、現地の倉庫や代行業者を活用し、返品をスムーズに処理できる体制を整えておくことが望まれます。ただし、言語や契約手続き、物流コスト、在庫管理の煩雑さなど、運用面での課題も多く存在します。こうしたリスクを軽減するには、返品ポリシーを明文化し、対応の一部を外部に委託するなどして、負担を分散させる工夫が求められます。
定期購入モデルが浸透していない
台湾では、日本で広く普及している定期購入モデルが、まだ十分に浸透していないのが現状です。特に健康食品や化粧品といった商品において、一定の間隔で自動的に配送される仕組みは、一部の消費者にとってなじみが薄く、誤解やトラブルにつながるおそれがあります。たとえば、初回の注文後に自動的に商品が届いたり、クレジットカードから継続的に代金が引き落とされたりすることで不正請求と誤解されるケースも報告されています。
このようなトラブルを未然に防ぐには、購入時点で定期配送の内容や解約方法を繁体字で丁寧に記載することが重要です。さらに、注文画面でもわかりやすく情報を提示し、消費者が安心して購入できる環境を整える必要があります。信頼を築くためには、販売設計において透明性を徹底する姿勢が求められます。
現地決済手段の未整備による離脱リスク
台湾市場で越境ECを展開する際に注意すべき点の一つが、決済手段の多様性です。台湾ではクレジットカードのほか、コンビニ後払い、ATM振込、代引きといった現地独自の方法が一般的に利用されています。これらに対応していないサイトでは、購入希望者が「支払えないから買えない」という状況に直面しやすく、結果としてユーザーの離脱につながるおそれがあります。
特に初回購入の心理的ハードルが高い越境ECでは、決済時の不安や手間が購買意欲を著しく下げる要因となります。だからこそ、現地ニーズに即した複数の支払い手段を導入し、安心して利用できる環境を整えることが、コンバージョン率を高めるための重要な施策といえるでしょう。
台湾での越境ECの始め方

台湾市場への越境ECを始めるには、現地ユーザーの購買行動や物流・決済環境を踏まえた販売手法の選定が重要です。自社ECサイトの構築、国内モールの活用、台湾のECモールへの出店など複数の選択肢があり、それぞれに異なる特長とハードルがあります。ここでは、ニーズやリソースに応じた具体的な始め方について解説します。
自社ECサイトを構築する
自社ECサイトを構築することには、ブランドの世界観を自在に表現できるうえ、顧客と直接つながれるという大きなメリットがあります。台湾市場に対応するサイト設計では、繁体字表示の導入に加え、コンビニ後払いやATM振込といった現地の決済方法を取り入れることが求められます。さらに、台湾国内に在庫を配置すれば、配送コストの削減やリードタイムの短縮にもつながり、ユーザー満足度の向上が期待できます。
初期構築には一定のコストと時間がかかるものの、販売手数料が不要な点やプロモーションとの親和性が高い点は大きな利点といえるでしょう。こうした特徴から、自社サイトは利幅の確保を重視する事業者にとって有力な選択肢となります。
国内ECモールを利用する
越境ECを手軽に始めたい事業者にとっては、国内ECモールの活用が現実的な選択肢となります。たとえば、Qoo10などは台湾への発送に対応しており、既存の商品登録や運営ノウハウをそのまま生かせる点が魅力です。自社で物流や決済の体制を整える必要がなく、初期投資を抑えて販売を開始できる点も利点といえるでしょう。
ただし、モールのルールや手数料体系に影響を受けやすいため、ブランドの独自性や顧客情報の蓄積には制限があります。まずはテストマーケティングの一環として利用し、市場の反応を見極めながら、次の展開を検討するのが現実的です。
台湾のECモールを利用する
台湾市場への円滑な参入方法として有効なのが、現地のECモールを活用する手段です。Shopeeやmomo購物網、PChome24hといった主要モールは台湾国内で高い集客力を誇り、現地に根付いた決済手段や配送サービスが整備されています。そのため、購入時の障壁が低く、越境EC初心者でも比較的取り組みやすい環境が整っています。
また、現地法人を設立しなくても、代行業者を通じて出店できるケースもあり、参入コストを抑えながら台湾のユーザーにリーチすることが可能です。ただし、各モールにはそれぞれ異なるターゲット層や商品ジャンルがあるため、事前に十分なリサーチを行い、自社商品と相性のよいモールを戦略的に選ぶことが重要です。
台湾で有名なECモール5選

台湾市場で越境ECを成功させるには、現地ユーザーが日常的に利用するECモールへの出店が有効です。各モールにはユーザー層や得意分野に違いがあるため、自社商品と相性の良い販路を選ぶことが成果に直結します。ここでは、台湾国内で高い集客力を誇る主要5モールをご紹介し、それぞれの特徴と活用ポイントを見ていきましょう。
h3:PChome 24h(ピーチホーム)

PChome 24hは、台湾で高い知名度を持つ大手ECモールであり、特に家電や日用品の分野で圧倒的な商品数と配送スピードが強みです。約150万点以上の商品を取り扱い、自社倉庫を活用した「24時間以内配送」の物流体制を整えています。18時までの注文で翌朝に商品が届くなど、その迅速な対応は台湾ユーザーから高く評価されています。
さらに、一定金額以上の購入で送料が無料になるなど、まとめ買いを促す価格設計も特徴の一つです。信頼性と利便性に優れているため、越境ECにおいて台湾進出の入り口として有力な販路となっています。
参考:PChome 24h
momo購物網(モモショッピング)

momo購物網(モモショッピング)は、台湾大手の富邦グループが運営する人気ECモールです。ファッションや化粧品、日用品、食品、アウトレット商品まで幅広く取り扱っており、特に30〜40代の女性から高い支持を集めています。商品は購入後、最短24時間以内に配送され、都市部では当日中の受け取りにも対応しています。さらに、24時間限定のセールやクーポン配布など、消費者の購買意欲を高める仕掛けも豊富に用意されています。
また、正規ブランド品のみが出店可能な専用コーナーも設けられており品質を重視する台湾ユーザーのニーズに応えています。台湾向け越境ECを検討する際、momo購物網は販路として非常に有力な選択肢となるでしょう。
参考:momo購物網
Yahoo!奇摩購物中心

Yahoo!奇摩購物中心は、日本のYahoo! JAPANの台湾版として展開されており、幅広い年齢層から支持を集めている大手ECモールです。生活雑貨や家電、食品、ファッションなど多彩な商品を取り扱っており、「Buyee」との連携によって日本の商品も手軽に購入できる体制が整っています。
さらに、返品可能期間が最大15日と比較的長めに設定されているため、ユーザーの購買に伴う不安を和らげる工夫も見られます。老若男女を問わないユーザー層と高い信頼性を備えていることから、さまざまな商材に適した越境ECプラットフォームとして活用が期待されます。
参考:Yahoo!奇摩購物中心
Shopee蝦皮購物(ショッピー)

Shopee蝦皮購物(ショッピー)は、東南アジア全域で急成長を遂げているシンガポール発のECモールであり、台湾国内でも高い利用率を誇ります。初期費用や月額費用が不要な出店プランに加え、日本語対応のサポートも整っており、越境ECを気軽に始めたい事業者に適したプラットフォームといえます。
購入者保護機能である「Shopee Guarantee」や、全国に設置された受取スポットなど、ユーザー目線に立ったサービスも充実しています。モバイルECとの親和性が高く、SNSとの連携による販促も効果を発揮しやすいため、台湾市場での認知拡大と販売実績の確立を目指す企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。
参考:Shopee蝦皮購物
ETMall 東森購物

ETMall(東森購物)は、台湾最大級のテレビショッピング企業が運営するECモールであり、約800万人以上の会員を有する信頼性の高いプラットフォームです。すべての商品に対して70項目以上の厳格な品質検査を実施している点が特徴で、安全性を重視する台湾の消費者から高く支持されています。
ファッションやコスメ、健康食品など多様なジャンルを網羅しており、中高年層からの支持も厚いことが強みといえます。さらに、テレビとECを融合させたメディアミックスによって販売力が高まり、ブランド訴求と販促の両立も図りやすい環境が整っています。信頼を重視した越境ECを目指すなら、ETMallは有力な出店先と位置づけられるでしょう。
参考:ETMall 東森購物
台湾で売れやすい商品の特徴

台湾市場で越境ECを成功させるには、現地の消費者ニーズを的確に捉えることが重要です。特に、日本製品に対する信頼性や限定性への関心が高く、ライフスタイルや文化背景に合った商材が支持されやすい傾向にあります。ここでは、台湾で特に売れやすい商品の特徴を詳しく見ていきましょう。
健康食品・サプリメントは高い需要がある
台湾市場では健康志向の高まりを背景に、健康食品やサプリメントへの関心が年々強まっています。特に共働き世帯や未婚層の増加により、体調管理や美容目的でセルフケア商品を選ぶ傾向が広がっています。
また、日本製サプリメントは品質や安全性への信頼が厚く、現地では“効果が期待できる商品”として定着しています。そのため、価格がやや高めでも購入されやすい傾向があります。さらに、中高年層向けの商品では、オフライン施策と連動することで販売効果をより高めることも可能です。
こうした背景を踏まえると、台湾越境ECにおいて健康食品・サプリメントは引き続き注目すべき有力な商材といえるでしょう。
日本製の化粧品・美容用品が支持されている
台湾市場では、日本製の化粧品や美容用品が高い支持を得ています。その背景には、「高品質で安全」という日本製品への信頼が深く根づいている点が挙げられます。特に、肌へのやさしさや機能性に優れた日本製コスメは、敏感肌用や自然派志向の商品を求める消費者からも高く評価されています。
さらに、訪日経験のある台湾人が日本で気に入った商品を、越境ECを通じて継続的に購入するケースも目立ちます。たとえば、momo購物網などのECモールでは、正規品のみを扱う専用コーナーが設けられており、信頼性を重視する消費者のニーズにしっかりと対応しています。
限定商品や“日本でしか買えない商品”が好まれる
台湾市場では、「日本でしか手に入らない限定商品」に対する関心が非常に高い傾向にあります。たとえば、地域限定のお菓子やキャラクターグッズ、日本限定のコスメシリーズなどは、その希少性から高価格帯であっても購入意欲を引き出しやすい商品です。背景には日本製品への信頼に加え、「他人と違うものを持ちたい」という心理が働いていると考えられます。
さらに、数量限定や期間限定といった要素も、消費者の購買を後押しする効果が期待できます。このように、限定性やストーリー性を備えた商品は、台湾の越境EC市場において“特別感”を訴求するうえで、重要な戦略となり得ます。
高品質で信頼できる日用品・雑貨が人気
台湾市場では、日本製の日用品や雑貨が「高品質で長持ちする」として高い評価を受けています。特にキッチン用品や掃除グッズ、収納アイテムなどは、日常生活の利便性を向上させる実用性に加え、信頼性の高さから支持されやすい傾向があります。
さらに、「日本製」というブランドイメージそのものが安心感につながるため、模倣品を避ける意識も強く、正規品であることが購入の決め手となるケースも見られます。加えて、機能性に優れるだけでなく、シンプルで美しいデザインが生活に馴染みやすい点も、越境ECにおいて人気が継続する要因といえるでしょう。
台湾の文化や季節行事に合わせた商品も売れる
台湾では旧正月(春節)、端午節、中秋節といった伝統行事が日常生活に深く根付いており、これらの時期にはギフト需要や限定商品の販売が活発になります。とくに春節前には、縁起物や紅包袋(お年玉袋)、健康食品、贈答用スイーツなどが多く求められ、家族や親戚への贈り物としてのニーズが一気に高まります。
また、日本の季節イベントやキャラクターとのコラボ商品も、“特別感”を演出できる点で親日的な台湾市場から好意的に受け入れられる傾向にあります。こうした台湾独自の年中行事に合わせた商品企画は、現地の生活文化に寄り添う越境EC戦略として、効果的に機能するといえるでしょう。
台湾向け越境ECを成功させるためのポイント

台湾市場で越境ECを成功させるには、現地の消費者特性や文化的背景に即した戦略設計が欠かせません。特に、繁体字への対応やSNS活用、購入者の信頼を得る工夫など、日本国内とは異なる視点が求められます。ここでは、初めての台湾進出でも成果を出しやすくするための実践的なポイントを解説します。
台湾の消費者ニーズやトレンドを理解する
台湾市場で越境ECを成功させるには、現地の消費者ニーズやトレンドを深く理解する姿勢が欠かせません。たとえば、共働き世帯の増加や未婚率の高さが背景にあり、自由に使える可処分所得を持つ層が多く見られます。このような層は、“高品質で限定性のある商品”に特別な価値を感じやすく、自分へのご褒美として購入する傾向があります。
また、FacebookやInstagramを活用した情報収集が盛んであり、ショート動画による商品紹介も高い効果が期待できます。さらに、コンビニ受取や後払いといった購入時の利便性を重視する傾向も見逃せません。こうした消費スタイルに寄り添った商品設計やマーケティング戦略を展開することで、現地での支持を高めることができます。
商品ページは繁体字中国語で丁寧にローカライズする
台湾向け越境ECを成功させるには、商品ページのローカライズが欠かせません。特に言語は、中国本土で使われる簡体字ではなく、台湾で一般的な「繁体字中国語」を用いる必要があります。翻訳の精度が低いと、商品への信頼が損なわれ、購買の意思決定を妨げる要因となるでしょう。
さらに、現地の検索ワードや文化的背景を意識した表現を取り入れることで、共感を得やすくなります。台湾では、定価と割引価格を併記する「二重価格表示」が一般的であり、価格の表示方法にも現地の慣習を反映することが重要です。こうした細やかな配慮が、ユーザーに安心感を与え、購入意欲の向上につながります。
SNSやショート動画を活用したプロモーション戦略を立てる
台湾市場におけるプロモーションでは、SNSとショート動画の活用が重要です。中でもFacebookやInstagramの利用率は高く、ショート動画は情報を素早く伝えられるだけでなく、視覚的な信頼感の醸成にも役立ちます。企業が顔出し動画を通じてブランドのストーリーや商品開発の背景を紹介することで、現地ユーザーとの心理的な距離を縮めやすくなります。
さらに、台湾では検索結果や口コミを重視する傾向が見られるため、初期段階でインフルエンサーやモニターによる投稿を取り入れることも効果的です。SNS施策は一度きりで終わらせるのではなく、継続的に発信しながらユーザーとの対話を積み重ねていくことで、ファンの獲得と購買意欲の向上につながります。
口コミやレビューを重視し信頼を獲得する
台湾の消費者は購入前に他者の評価を重視する傾向が強く、口コミやレビューは信頼獲得に欠かせない要素となります。とくに越境ECにおいては、「商品が本当に届くのか」「品質に問題はないか」といった不安を払拭するため、実際の購入者の声が重要な判断材料となります。販売初期には、インフルエンサーやモニターを起用してレビューを投稿してもらうことや、台湾の掲示板で話題をつくることが効果的です。
さらに、商品ページに実績や評価の数値を明記することで、消費者に安心感を与えることが可能です。加えて、現地の文化や言語に配慮したレビュー戦略を展開すれば、台湾ユーザーからの信頼を得やすくなり、購入意欲の向上にもつながります。
台湾独自の決済手段・配送方法に対応する
台湾市場では、クレジットカード以外の決済手段や柔軟な配送方法が、消費者の購買行動に強く影響します。特に「コンビニ後払い」「ATM振込」「代金引換」は日常的に利用されており、非対応の場合はカート離脱につながる可能性が高くなります。さらに、配送に関しては自宅への配達よりも「コンビニ受取」の利用が一般的で、共働き世帯や外出の多い層のライフスタイルに適しています。
台湾向け越境ECを成功させるには、こうした現地の習慣を踏まえた決済・配送体制の整備が不可欠です。ECモールの機能を活用する、または現地パートナーと連携することで、利便性の高い購入体験を実現し、信頼と売上の両立を図ることが求められます。
台湾市場で越境ECを成功させるには、現地の市場特性を正しく理解することが欠かせません。また、専門家の支援を受けることで、より確実に成果へとつなげることができます。実績のあるコンサルティング会社を活用すれば、スムーズかつ効果的な海外展開が実現しやすくなるでしょう。
まとめ:台湾向け越境ECを始めて東南アジア市場の拡大を図ろう
台湾市場は、高いEC化率と親日性、整備されたインフラにより、日本企業にとって越境ECの有力なターゲットといえます。特にスマートフォンの普及とSNS文化の定着により、日本のマーケティング手法を応用しやすい点が強みです。加えて、台湾での実績は、華人圏を中心とした東南アジア諸国への展開にもつながります。
はじめはモール出店や外部リソースの活用を視野に入れつつ、繁体字対応や現地決済手段の整備など、地域に適した戦略設計が求められます。段階的な成長を図ることで、将来的にはASEAN市場への足がかりを築くことができるでしょう。