海外市場への販路拡大を目指す中小企業や個人事業主にとって、いま「越境EC」はまさにチャンスの波が訪れています。中でもShopifyは、言語や通貨の壁を越え、誰でもグローバル対応のネットショップを簡単に立ち上げられるプラットフォームとして注目を集めています。
一方で、「何から始めればいいのか分からない」「失敗しないためにはどうすればいいのか」といった不安の声も少なくありません。そこで今回は、Shopifyを活用した越境ECのメリットや導入手順、そして成功のためのコツについて、分かりやすく解説していきます。
越境ECとは?

越境ECとは、インターネットを通じて日本国内から海外の消費者に商品やサービスを販売する電子商取引のことです。英語では「Cross-Border E-Commerce」と呼ばれ、国境を越えたECビジネスを指します。国内市場の成熟が進む中、海外市場への展開手段として注目されており、特に中国やアメリカといった巨大市場をターゲットにすれば、売上の大幅な拡大も見込めます。
また、現地に実店舗を構える必要がないため、比較的低コストで参入できる点も魅力です。ただし、言語や通貨、法規制の違いといった課題も存在するため、現地の文化やニーズに応じた柔軟な対応が求められます。
まずは越境ECの基本を正しく理解すること。それが、グローバル市場へ踏み出すための第一歩となります。
越境ECの基本をさらに深く知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。国内ECとの違いに加え、成功に向けた具体的なステップについても丁寧に解説されています。
なぜ今、越境ECが注目されているのか
世界の越境EC市場は急成長を続けており、2030年には2021年の7,850億USドルから7兆9,380億USドルへと、約10.1倍に拡大する見通しです。特に中国やアメリカといった巨大市場は、日本の数倍の購買力を持ち、日本企業にとって非常に魅力的なターゲットとなっています。
さらに、デジタル技術や物流インフラの進化により、言語や通貨、配送といった障壁が低くなりつつあり、中小企業や個人でも参入しやすい環境が整ってきました。国内市場が成熟し、売上の伸び悩みが懸念される中、新たな成長機会として越境ECに注目が集まっています。
今後は、海外のニーズに応じた商品展開と柔軟な運営体制を構築することで、グローバル市場での販路拡大が現実的な目標となるでしょう。
越境ECを始めるにあたっては、事前に市場の成長性や世界的な動向を把握しておくことが欠かせません。
なかでも、どの地域が急速に拡大しているのか、また何が市場成長の背景にあるのかを理解しておくことで、より戦略的に展開を進めることができます。
越境EC市場の最新トレンドや、世界・日本における成長要因について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
越境ECと国内ECの違い
越境ECと国内ECの最大の違いは、取引相手が海外の消費者であることです。国内ECは日本国内のユーザーを対象としており、言語や通貨、商習慣が統一されているため、比較的シンプルに運用できます。
一方、越境ECでは多言語・多通貨への対応に加え、海外配送、関税、現地の法規制に関する理解も求められるため、運営の難易度は高くなります。その分、リターンも大きく、海外市場の拡大によって売上成長のチャンスが広がる点が魅力です。
特に、Shopifyのように越境ECに強いプラットフォームを活用すれば、こうしたハードルを大きく下げられます。比較的低コストでグローバル市場への参入が可能となるため、有効な選択肢といえるでしょう。
まずは国内ECとの違いを正しく把握し、戦略的に準備を進めることが成功への第一歩となります。
また、越境ECを成功させるためには、自社の商材やターゲットに適した販売チャネルを見極めることも重要です。たとえば、Amazonの越境EC(グローバルセリング)を活用すれば、Shopifyとは異なる方法で世界中の顧客へアプローチすることができます。
Shopifyが注目される理由

海外向けEC市場の拡大に伴い、多くの中小企業や個人事業者がShopifyを活用しています。多言語・多通貨への対応、豊富な決済手段、高い拡張性などが支持される理由です。世界中の消費者に向けてスムーズな販売環境を整えられることから、越境ECのスタートに適したサービスとして注目を集めています。
ここでは、Shopifyが注目される理由について解説します。
多言語・多通貨に対応して世界中で販売できるため
Shopifyが越境ECに適している大きな理由のひとつに、多言語・多通貨対応が挙げられます。ECサイトにアクセスしたユーザーの地域に応じて、言語や通貨を自動で切り替えることができるため、世界中の消費者に対して違和感のない購入体験を提供できます。
たとえば、「Langify」や「BEST Currency Converter」といったアプリを活用すれば、専門的な知識がなくても多言語・多通貨に対応したサイトを簡単に構築できます。また、Shopify Paymentsを利用することで、約130種類の通貨に自動で対応し、為替レートもリアルタイムで反映されるため、現地通貨での価格表示が可能です。
こうした柔軟性により、中小企業や個人事業者でもグローバル市場への参入がしやすくなります。
豊富な決済・配送手段でスムーズな取引ができるため
Shopifyが越境ECに適しているもう一つの大きな理由は、豊富な決済手段と配送方法を柔軟に組み合わせられる点にあります。
国や地域によって好まれる支払い方法は異なるため、希望の決済手段が用意されていないと、購入を断念されることも少なくありません。Shopifyでは「Shopify Payments」に加えて、PayPal、Amazon Pay、Paidyなど多様な決済アプリと連携でき、主要なクレジットカード決済から後払い方式まで、幅広く対応可能です。
配送についても、「Easyship」や「Ship&co」といったアプリを利用することで、送料の自動計算、インボイスの発行、配送ラベルの一括管理などが行えます。これにより、国際配送にかかる手間を大きく軽減できます。
中小企業や個人事業者であっても、現地のニーズに合った決済・配送手段を整えることで、顧客の離脱を防ぎ、円滑な取引が可能になります。
マーケティング機能と拡張性で売上アップが狙えるため
Shopifyは、マーケティング機能と拡張性に優れており、売上アップを目指す越境ECに最適なプラットフォームです。ストア分析機能では、売上や訪問者の行動データを把握しやすく、GoogleアナリティクスやLucky Orangeといった外部ツールと連携することで、改善点の特定もスムーズに行えます。
また、クーポンの発行やカゴ落ちメールの配信など、販促機能も充実しています。さらに、8,000以上のアプリから必要な機能を簡単に追加できるため、自社の成長段階に応じた柔軟な運用が可能です。
マーケティング施策の実行から効果測定、改善までを一貫して行える環境が整っており、初心者から本格的な事業者まで幅広く活用されています。
導入実績が豊富で信頼性が高いため
Shopifyが多くの事業者に支持されている理由は、その圧倒的な導入実績と高い信頼性にあります。世界175カ国、100万以上のショップで利用されており、国内でも29,000以上の店舗が導入しています。この実績は、越境ECに初めて挑戦する中小企業や個人事業主にとって、大きな安心材料となっています。
また、Shopifyはセキュリティ水準の高いサーバー環境を提供しており、国際的なセキュリティ認証であるPCI DSSレベル1やISO27001も取得済みです。これにより、安全な取引環境が確保されています。
さらに、24時間体制のグローバルサポートも整っているため、万が一トラブルが発生しても迅速な対応が可能です。高い信頼性と豊富な実績を兼ね備えたプラットフォームだからこそ、長期的に安心してビジネスを展開することができます。
Shopifyで越境ECを始める前に知っておくべき準備事項

越境ECは大きなチャンスを秘めていますが、成功には入念な事前準備が欠かせません。特に、ターゲット国の文化や商習慣への理解、多言語・多通貨に対応した体制の整備、法規制の確認、信頼できる配送手段の確保といった点は、トラブルを防ぎ、安定した売上につなげるために重要です。
ここでは、Shopifyを使って越境ECを始める前に確認しておきたい基本的な準備事項について解説します。
ターゲット国の市場リサーチと文化を理解する
越境ECを成功させるためには、ターゲット国の市場リサーチと文化への理解が欠かせません。消費者のニーズや購買行動は国によって大きく異なり、同じ商品でも響くポイントや求められる機能が変化することがあります。たとえば、現地で主流となっている決済方法や、購入時に重視される要素(価格、品質、ブランドなど)を事前に把握することで、より現地のユーザーに寄り添った販売戦略が立てやすくなります。
さらに、宗教や習慣、色が持つ意味など、文化的な背景にも注意が必要です。現地のSNS投稿やインフルエンサーの発信を分析し、トレンドを把握することは有効ですし、アンケートやレビューを通じて顧客の声を集めることも役立ちます。
こうしたリサーチ結果は、Shopifyによる多言語対応や商品ページの表現に活かすことができ、ユーザーの離脱を防ぎ、信頼の獲得にもつながります。
輸出入の法律・規制・関税を確認する
越境ECを始める前に必ず確認しておきたいのが、販売国における輸出入の法律や規制、そして関税の取り扱いです。国によっては販売が制限されている商品や、特別な許可が必要な商材もあります。これらを把握せずに販売を行うと、トラブルの原因になるおそれがあります。
関税は購入者が負担するのが一般的ですが、金額によっては商品を受け取ってもらえないケースもあります。そのため、関税やVAT(付加価値税)の有無や金額について事前に調査し、商品ページに明記しておくことが重要です。
Shopifyでは、関税や送料の自動計算、インボイスの発行などに対応しており、国別の設定も可能です。スムーズに越境ECを運営するためには、各国の法令を順守し、コストを明確に表示することが欠かせません。
多言語・多通貨対応の体制を整える
越境ECにおいて、訪問者が言語や通貨の違いで戸惑わないようにすることは、購入率を高めるうえで非常に重要です。Shopifyは、50以上の言語と130以上の通貨に対応しており、地域ごとに最適な表示環境を整えることができます。たとえば、「Langify」を活用すれば、自動翻訳と手動翻訳の両方に対応可能です。また、「BEST Currency Converter」を使うことで、現地通貨での価格表示を自動で行えます。
さらに、Shopify Paymentsを導入すれば、為替レートがリアルタイムで反映され、スムーズな決済環境を構築できます。こうした機能を活用することで、専門的な知識がなくても中小企業や個人事業者が海外市場に対応したECサイトを簡単に立ち上げることが可能です。
まずは、多言語・多通貨に対応した体制を整えることが、越境ECを成功へ導くための第一歩となります。
信頼できる海外配送の手配をする
越境ECをスムーズに運営するためには、信頼性の高い海外配送体制の構築が欠かせません。配送中の破損や遅延、不着といったトラブルを防ぐには、国際配送に対応した実績のある業者を選ぶことが重要です。
たとえば、日本郵便は120カ国以上への配送実績があり、信頼性の高い選択肢といえます。DHLやFedEx、UPSなどのクーリエ便は配送スピードに優れ、関税対応も可能なため、越境EC初心者にも適しています。
また、Shopifyでは「Ship&co」などのアプリを活用することで、送り状やインボイスの発行、追跡番号の自動同期が可能となり、配送業務の効率化につながります。
配送遅延や不明確な送料がユーザーの不満につながらないよう、配送先ごとのリードタイムや費用を事前に把握し、サイト上で丁寧に案内しておくことも大切です。
Shopify越境ECの設定手順と必要な初期設定

Shopifyで越境ECを始める際に、まず押さえておきたいのが「設定手順」と「初期設定」です。多言語・多通貨への対応、配送方法、決済手段、税金の表示などは、海外ユーザーに安心して購入してもらうための大切な基盤となります。
ここでは、Shopifyの基本的な設定方法から、グローバル展開に必要な対応ポイントまでを具体的に解説し、スムーズなストア構築をサポートしていきます。
Shopifyアカウントの作成と基本情報の登録
Shopifyで越境ECを始めるには、まず公式サイトでアカウントを作成し、ストアの基本情報を登録する必要があります。アカウントの作成は、メールアドレスとパスワードを入力するだけで完了します。その後、ストア名や販売地域、事業形態などの情報を順に設定していきます。
これらの情報は後から変更可能ですが、ターゲット国の市場や文化を意識したネーミングや運営体制を整えておくことが大切です。通貨や言語の初期設定も、後のマーケット展開や決済、配送設定に影響するため慎重に選びましょう。
初期段階での正確な入力が、越境ECサイトの構築と運用をスムーズに進めるための鍵となります。
マーケット・言語・通貨の設定
越境ECを始めるにあたって、最初に行うべき重要な初期設定が「マーケット・言語・通貨」の設定です。Shopifyでは、販売対象の国をマーケットとして追加し、それぞれに適した言語や通貨を割り当てることで、訪問者が自国の環境で快適にショッピングできるサイトを構築できます。
この設定は管理画面から簡単に行えます。また、「Langify」や「BEST Currency Converter」といったアプリを活用すれば、翻訳や通貨換算も自動で対応可能です。
さらに、Shopify Paymentsを有効にすることで、130以上の通貨に対応した価格表示や為替レートの自動反映が実現します。ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率を高めるためにも、この初期設定は確実に整えておきたいところです。
決済方法と配送設定を整える
越境ECを円滑に運営するためには、ターゲット国に適した決済手段と配送設定をあらかじめ整えておくことが大切です。Shopifyでは「Shopifyペイメント」「PayPal」「Amazon Pay」など、100以上の決済方法に対応しており、地域に応じて最適な手段を選べます。配送についても、「Ship&co」や「Easyship」といったアプリを利用すれば、送り状やインボイスの自動発行、送料の計算、追跡番号の管理などを効率化できます。
たとえば「配送日時指定.amp」を導入すれば、細かな時間帯指定にも対応でき、ユーザーの満足度向上につながります。こうした設定を事前に整えることで、現地の商習慣に即したスムーズな購買体験を提供でき、結果としてコンバージョン率の向上にも貢献します。
関税・消費税の取り扱いと記載
越境ECにおいては、各国で異なる関税や消費税(VATなど)の取り扱いを正しく理解し、それを購入者に明確に伝えることが重要です。これらの税金は原則として購入者が負担するため、商品受け取り時に追加費用が発生することもあります。
Shopifyでは、対象国ごとの関税や税率を自動で計算できる設定が用意されており、チェックアウト時に正確な金額を表示することが可能です。インボイスの発行や、国別の税率設定にも対応しているため、税金に関するトラブルを未然に防ぐことができます。
さらに、FAQページに「関税が発生する可能性がある」ことをあらかじめ記載しておくことで、購入者の不安を軽減し、ストアの信頼性向上にもつながります。販売国の税制度を把握し、必要な情報を適切に表示することが、越境ECを成功させるための大切なポイントです。
越境ECの基礎知識を身につけたうえで、さらに実践的な支援を受けたい方は、越境ECに強いコンサルティング会社の活用も視野に入れてみましょう。
成功する越境ECのポイントとShopify活用術

海外向けのEC展開を成功させるには、現地ニーズへの対応や購入体験の最適化が重要です。多言語・多通貨への対応に加え、スムーズな決済や配送体制の構築も、売上に直結する要素といえるでしょう。
ここでは、Shopifyの機能を活用した越境ECの成功ポイントを紹介し、実践的な運用方法まで具体的に解説します。
現地ニーズに合わせた商品・コンテンツ展開
越境ECを成功させるためには、現地のニーズを的確に捉えた商品やコンテンツの展開が欠かせません。国ごとに文化や価値観、消費行動が異なるため、日本でヒットした商品がそのまま海外市場でも受け入れられるとは限らないのです。
たとえば、日本で定番とされるデザインや機能であっても、現地のユーザーにとっては使いづらいと感じたり、魅力を見出せなかったりする場合があります。現地のSNSやインフルエンサーの発信を参考にしてトレンドを把握し、アンケートやレビューを活用してニーズを深掘りすることが大切です。
また、Shopifyの多言語対応機能や、マーケット別に設定できるカスタマイズ機能を活用すれば、商品説明やキャンペーンを国ごとに最適化することも可能です。こうしたローカライズの積み重ねが、現地の消費者との信頼関係を築き、売上の拡大につながっていきます。
多言語・多通貨対応で購入体験を最適化
多言語・多通貨への対応は、越境ECにおける購入体験を最適化するうえで重要な要素です。Shopifyは、50以上の言語と130を超える通貨に対応しており、訪問者のブラウザ設定や地域情報に応じて、言語や通貨を自動で切り替える機能を備えています。
たとえば「Langify」や「BEST Currency Converter」などのアプリを活用すれば、専門知識がなくても直感的な操作でグローバル対応を実現できます。さらに、Shopify Paymentsを導入することで、為替レートが自動で反映され、現地通貨でのリアルタイム表示が可能になります。
これにより、ユーザーは安心して購入手続きを進めることができ、カゴ落ちの防止にも効果的です。越境ECを成功に導くには、言語や通貨の壁を取り除き、ユーザーのストレスを最小限に抑える体制が求められます。Shopifyを活用すれば、その環境を手軽に整えることができます。
SNS・SEO・広告を活用した集客戦略
SNS、SEO、広告を活用した集客戦略は、Shopifyを用いた越境ECの成功において重要な要素です。まず、InstagramやFacebookなどのSNSを通じて現地ユーザーとの接点を築くことで、ブランド認知を高めることができます。特に、ビジュアルに訴求力のある商品はSNSとの相性が良く、インフルエンサーとの連携も効果的です。
SEO対策では、現地語でのキーワード選定と自然な翻訳が求められます。検索エンジンに最適化されたコンテンツは、オーガニック流入の増加につながるため、長期的な集客に有効です。さらに、Google広告やFacebook広告を活用することで、ターゲット市場に対して効率的なアプローチが可能になります。
Shopifyには、広告運用やアクセス解析を支援するアプリが数多く用意されており、初心者でも戦略的にマーケティングを展開しやすい環境が整っています。
信頼性を高める決済・配送の仕組みづくり
越境ECを成功させるには、顧客に安心感を与える決済や配送の仕組みが欠かせません。Shopifyでは「Shopifyペイメント」「PayPal」「Apple Pay」など、各国で利用されている100以上の決済手段に対応しており、現地ユーザーが慣れた方法でスムーズに支払いを行えます。
配送面では、「Ship&co」や「Easyship」といったアプリを活用することで、インボイスの発行、追跡番号の自動同期、送料のリアルタイム計算が可能になります。これにより、配送業務の手間を大幅に削減でき、顧客には明確な送料や配送期間を提示できます。
信頼性の高い決済と配送環境を整えることは、リピート購入の促進やカゴ落ちの防止にもつながります。越境ECにおける長期的な成功を支える、重要な基盤となる要素です。
越境ECで役立つShopifyアプリ・ツール紹介

越境ECを成功させるには、多言語対応、多通貨表示、国際配送など、さまざまな課題を乗り越える必要があります。こうした課題を解決するうえで頼りになるのが、Shopifyのアプリやツールです。専門的な知識がなくても簡単に導入できるものが多く、中小企業や個人事業主にとっても海外市場がぐっと身近に感じられるようになります。
ここでは、以下の越境ECに役立つアプリやツールをご紹介します。
アプリ・ツール名 | 主な機能・目的 |
---|---|
Langify | 多言語対応、SEO最適化、手動・自動翻訳の併用が可能 |
BEST Currency Converter | 多通貨表示、リアルタイム為替反映、自動通貨切り替え |
Ship&co | 配送ラベル・インボイス一括管理、国内外配送業者と連携 |
Easyship | 配送自動化、送料計算、関税表示、返品管理 |
Yotpo | レビュー収集、ロイヤリティプログラム、紹介制度、メール連携 |
SEO Manager | 検索エンジン最適化、構造化データ、画像alt設定、404修正 |
EasyRates Japan Post | 日本郵便対応の送料・関税計算、チェックアウト時の料金表示 |
Langify|多言語翻訳でグローバル対応を実現
海外展開を目指す越境ECにおいては、言語の壁が大きな課題となります。そこで役立つのが、Shopify専用の多言語翻訳アプリ「Langify」です。プログラミングの知識がなくても、ストア全体を複数の言語に対応させることができ、直感的な操作画面で翻訳作業もスムーズに行えます。
さらに、SEO対策にも配慮されており、言語ごとのURL構造を最適化できるため、検索エンジンからの集客にも効果的です。利用者の言語設定に応じて自動で該当する言語ページへ誘導する機能も備えており、閲覧時のストレスを軽減します。
また、手動翻訳と自動翻訳を使い分けることができるため、表現の精度を重視した多言語対応が可能です。月額制のシンプルな料金体系も導入しやすく、越境ECを初めて展開する事業者にとって扱いやすい翻訳ソリューションといえます。
参考:Langify
BEST Currency Converter|多通貨対応でユーザー利便性アップ
越境ECでは、訪問者が商品価格をひと目で把握できる環境づくりが重要です。特に、日本円に不慣れな海外ユーザーにとっては、自国通貨で価格が表示されることが、購買判断を左右する大きなポイントになります。「BEST Currency Converter」は、こうしたニーズに応える多通貨対応のアプリです。
無料プランでは5通貨、有料プランでは160通貨以上に対応しており、ユーザーの所在地に応じて通貨を自動で表示してくれます。通貨の切り替えボタンはページ上部に自然に配置され、どのデバイスでも快適に操作できます。さらに、為替レートはリアルタイムで更新され、常に正確な価格を提示できます。
通貨に関するストレスを軽減し、離脱率の低下も期待できるこのアプリは、越境ECに初めて取り組む事業者にとって、心強い存在といえるでしょう。
Ship&co|配送ラベルとインボイスを一括管理
越境ECにおける配送業務は、送り状の作成やインボイスの発行、運送会社との連携など、手間のかかる工程が多く、ミスも発生しやすい領域です。Shopifyアプリ「Ship&co」は、こうした煩雑な作業を一元管理できるクラウド型ツールです。
国内ではヤマト運輸、佐川急便、日本郵便に対応しているほか、DHL、FedEx、UPSなどの海外配送業者にも連携可能。発送ラベルの作成、送料の比較、追跡番号の自動同期といった作業を、ワンクリックで完了できます。
さらに、HSコードの自動補完機能や通関用インボイスの電子発行にも対応しており、国際配送時に起こりがちなトラブルの防止にもつながります。出荷作業にかかる時間を最大90%削減できるため、人的リソースに限りがある中小企業や個人事業者にとって、心強い業務支援ツールといえるでしょう。
参考:Ship&co
Easyship|送料計算から配送追跡までを自動化
越境ECにおいて、配送は最も煩雑な業務の一つです。そうした課題を大幅に軽減してくれるのが「Easyship」というツールです。Shopifyと連携することで、注文情報の同期、送料の自動計算、送り状やインボイスの発行、追跡番号の通知までを一元管理できます。
UPS、DHL、FedExなど250社以上の配送業者と接続可能で、国ごとの関税や税金の表示にも対応しています。チェックアウト時には、最安かつ最速の配送プランを提示できるため、購入率の向上にも貢献します。
さらに、返品管理やブランディングされた梱包書類の作成も可能です。業務の自動化と顧客満足度の向上を同時に実現できる、越境ECに欠かせないアプリといえます。
参考:Easyship
Yotpo|海外ユーザーのレビュー獲得を支援
越境ECにおいて信頼性を高めるための要素のひとつが、ユーザーレビューの活用です。Shopifyアプリ「Yotpo」は、海外ユーザーからのレビュー獲得やリピーターの育成を支援するツールとして注目されています。
Yotpoを導入すれば、購入後に自動でレビュー依頼を送信できるほか、レビュー投稿に応じてポイントや特典を付与するロイヤリティプログラムの構築も可能です。さらに、VIP制度や紹介キャンペーンの設定にも対応しており、ファンの囲い込みと新規顧客の獲得を同時に実現できます。
また、メールマーケティングツールやサブスクリプションアプリとの連携もスムーズなため、成長段階に応じた柔軟な運用が行えます。海外ユーザーとの関係性を深めながら信頼を積み重ねていく仕組みとして、Yotpoは越境ECにおける重要なマーケティングツールといえるでしょう。
参考:Yotpo
SEO Manager|グローバルSEO対策をアプリで強化
越境ECにおいては、検索エンジン経由の集客は重要です。現地ユーザーの検索ニーズに対応するためには、精度の高いSEO対策が求められます。Shopifyアプリ「SEO Manager」は、AIによる自動最適化や構造化データの強化、画像のaltテキスト設定、404エラーの検出と修正など、グローバルなSEO施策を幅広くサポートします。
Googleだけでなく、ChatGPTやGeminiといったAI検索にも対応しており、オーガニック流入の拡大が期待できます。また、コーディング不要で直感的に操作できる設計のため、SEOの知識が少ない事業者でも安心して利用可能です。
海外市場を見据えた検索対策を始めたい方にとって、「SEO Manager」は心強い存在となるでしょう。
参考:SEO Manager
EasyRates Japan Post|日本郵便に対応した送料・関税計算ツール
越境ECにおいて、送料や関税の計算は購入者の離脱を防ぐうえで重要な要素です。Shopifyアプリ「EasyRates Japan Post」は、日本郵便の国際配送サービスに対応しており、配送料金や関税をチェックアウト時にリアルタイムで表示できる便利なツールです。
配送先や商品の重量に応じて最新の料金を自動で計算し、ユーザーに分かりやすい配送オプションを提示します。さらに、一定金額以上の購入で送料無料とする設定や、地域ごとの細かな条件も自由にカスタマイズ可能です。
また、送り状作成アプリ「easyLabel」と連携することで、注文時に選択された配送方法がそのままラベル発行に反映され、業務効率が大きく向上します。中小企業や個人事業者でも手間なく、スムーズな国際配送体制を整えることができる、越境ECにおける心強いサポートアプリといえます。
Shopifyの越境ECでよくある失敗パターン

Shopifyを使えば、誰でも手軽に海外向けのネットショップを開設できます。ただし、越境EC特有の課題を十分に理解しないまま始めてしまうと、思うように集客できなかったり、購入率が伸びなかったりする可能性があります。
特に「多言語・多通貨の設定」「海外配送」「関税対応」といったポイントでのつまずきは、売上に直結するリスクとなるため注意が必要です。ここでは、実際によくある失敗パターンとその対策について紹介します。
多言語・多通貨の設定が不十分で離脱される
越境ECにおいて、多言語や多通貨への対応が不十分な場合、ユーザーが購入直前で離脱してしまう要因となります。たとえば、商品ページが自国の言語に翻訳されていなかったり、自国通貨で価格が表示されていなかったりすると、不信感や不便さを感じて購入を断念するケースは少なくありません。
Shopifyでは、「Shopify Markets」機能や「Langify」「BEST Currency Converter」といったアプリを活用することで、言語や通貨の自動切り替え、さらにはリアルタイムの為替反映にも対応できます。ただし、こうした設定が初期段階で不十分だと、せっかく集めた訪問者も購入には至らず、成果につながらない恐れがあります。
購入体験を最適化するためには、ターゲット国のユーザー視点に立ち、違和感なくショッピングできる環境を整えることが重要です。
海外配送のトラブルでクレームが増える
越境ECでよくある失敗のひとつに、海外配送に関するトラブルによってクレームが増加するケースがあります。中でも、配送の遅延や商品の破損、関税の不明瞭さといった問題は、購入者の不満につながりやすく、ストアの評価を下げる要因となります。その結果、リピート率の低下を招くこともあります。
たとえば、日本からアメリカへ商品を配送する場合、到着までに2〜3週間かかることもあり、即日配送に慣れている現地ユーザーからは不満の声が上がることがあります。こうしたトラブルを回避するためには、信頼性の高い配送業者を選ぶことが重要です。加えて、リードタイムや送料、関税の有無などをサイト上で明確に表示する工夫も求められます。
Shopifyを活用している場合は、「Ship&co」や「Easyship」といったアプリを導入することで、配送ラベルやインボイスの発行、追跡番号の自動同期などが可能になります。これにより、配送にかかる手間やリスクを大幅に軽減できます。
初期段階で物流体制をしっかり整えておくことが、クレームの予防と顧客満足度の向上につながります。
決済手段が現地に合っておらずカゴ落ちが発生
越境ECでよくある失敗のひとつが、「現地に合わない決済手段」によってカゴ落ちが発生するケースです。たとえば中国ではAlipayやWeChat Pay、ヨーロッパではKlarnaやSofortといった地域特有の決済方法が主流です。しかし、これらに対応していないと、ユーザーは支払い時に不便を感じ、購入を断念することになります。
Shopifyでは、100種類以上の決済手段に対応しています。「Shopify Payments」やPayPal、各地域の後払い決済なども簡単に導入可能です。
越境ECを成功させるには、ターゲット国の決済事情を事前に調査し、現地の購買習慣に合った支払い方法を用意することが欠かせません。スムーズな購入体験を提供できれば、離脱を防ぎ、コンバージョン率の向上にもつながります。
関税・税金の表示がなく不信感を与える
越境ECにおいて見落とされがちなのが、関税や消費税(VATなど)の表示です。購入手続きの最後に突然追加料金が発生すると、ユーザーは「騙された」と感じて購入を中断してしまうこともあります。とくに初めて利用する海外サイトでは、価格の透明性がそのまま信頼性につながるため、こうした情報の未表示は致命的な失敗になりかねません。
Shopifyには、関税や税金を自動で計算し、チェックアウト時に表示できる機能があります。「Duties & Taxes Included Pricing(関税・税金込み価格)」の設定も可能です。また、FAQページで税金の取り扱いについて事前に案内しておくことも、ユーザーに安心感を与えるポイントです。
こうした細やかな配慮こそが、越境ECの成功を左右します。
集客戦略が国内向けと同じで通用しない
越境ECでは、国内ECと同じ感覚で集客戦略を立ててしまうと、成果につながらないケースが少なくありません。たとえば、日本国内で効果的だったSNS広告やSEO対策も、海外では言語や文化、消費者の価値観が異なるため、そのままでは通用しないことが多いです。
実際に、InstagramやFacebookなどのSNSは、国ごとに利用率やトレンドが大きく異なります。広告のクリエイティブや訴求内容も、現地のニーズに合わせた調整が欠かせません。検索エンジンの利用傾向やキーワードの選定も同様に、国によって差があり、現地語でのSEO対策やインフルエンサーとの連携が求められます。
Shopifyには、多言語SEOやSNS連携に対応したアプリが豊富にそろっており、戦略次第で効果的な集客を実現することが可能です。国内での成功体験をそのまま当てはめるのではなく、現地に根差した戦略設計が重要となります。
Shopifyを活用した越境EC成功事例から学ぶ戦略

越境ECに挑戦したいものの、何から始めればよいのか分からない。そんな悩みを抱える方にこそ参考にしてほしいのが、Shopifyを活用して海外展開を実現した事業者の事例です。
多言語対応、ユーザー体験を意識した設計、信頼性のある配送体制など、成功の背景には具体的な工夫と戦略があります。
ここでは、以下の事例から得られる実践的なヒントを紹介します。
事例名 | 商品・サービス内容 | 特徴的な取り組み | 対応言語・通貨 |
---|---|---|---|
とらや | 和菓子 | 多言語対応、職人技を伝えるビジュアル、詳細情報の表示、多通貨・クレジット決済に対応 | 日本語・英語・中国語/多通貨 |
Solaris Japan | アニメ・ゲームグッズ | UX改善、読み込み速度向上、明確な発送情報、信頼性の高い決済手段 | 英語中心/ペイパル対応など |
Fake Food Japan | 食品サンプル | 動画による商品紹介、視覚的訴求、英語対応の商品説明、明確な配送情報 | 英語対応/クレジット決済対応など |
BENTO&CO | お弁当箱 | 多言語・多通貨対応、SNS・メールマーケティング活用、キャンペーン実施 | 英語・フランス語・日本語/多通貨 |
CS TOYS INTERNATIONAL | 特撮玩具 | 梱包ライブ配信、Flickr・Twitter連携、POS機能による海外販売、信頼性向上への工夫 | 英語中心/海外発送に対応 |
伝統工芸を世界に届ける「とらや」のブランド戦略

和菓子の老舗「とらや」は、Shopifyを活用し、伝統工芸である和菓子を世界へ発信しています。海外向けのECサイトでは、日本語・英語・中国語に対応。職人の技を伝えるビジュアルや、丁寧な商品説明を通じて、日本文化の魅力を効果的に伝えています。
たとえば、色鉛筆風のイラストを用いた和菓子の紹介や、アレルゲンや重量といった詳細情報の表示など、海外ユーザーの視点に立った設計が特徴です。こうしたローカライズ対応に加えて、多通貨やクレジット決済にも対応しており、安心して購入できる環境を整えています。
伝統を守りつつ、デジタル技術を活用してグローバル市場に挑む「とらや」の取り組みは、Shopifyを活用した越境ECの好例といえるでしょう。
参考:Toraya Confectionery Co. Ltd. – The official online store
アニメ・ゲームグッズを展開する「Solaris Japan」のグローバル対応

日本のアニメやゲームグッズを世界中に届ける「Solaris Japan」は、越境ECの好例として注目されています。創業者であるジェイコブ氏は、ユーザー体験の最適化を重視し、Shopifyへの移行を実施。その結果、サイトの読み込み速度や視認性が向上しました。これにより、訪問者の滞在時間が延び、売上の大幅な増加にもつながっています。
また、すべての商品ページに送料や発送方法を明記するなど、「分かりやすさ」への徹底した配慮も特徴的です。さらに、ペイパルなど信頼性の高い決済手段を導入し、海外ユーザーの不安を軽減しています。越境ECにおいては「顧客視点」が何よりも重要であることを示す、優れた事例と言えるでしょう。
参考:Japanese Anime Store – Figures, Merchandise and More! – Solaris Japan
海外ユーザーのUXを最適化した「Fake Food Japan」のデザイン活用

日本の食品サンプルを海外へ届ける越境ECサイト「Fake Food Japan」は、ユーザー体験(UX)の最適化に力を入れ、注目を集めています。Shopifyを活用したストアでは、本物の料理のように見える精巧な食品サンプルが、アクセサリーや雑貨として紹介されており、訪問者の興味を引くデザインが随所に施されています。
中でも印象的なのが、動画を活用して商品の魅力を伝えている点です。製作工程や細部へのこだわりを視覚的に表現し、品質の高さを実感できる工夫が見られます。英語対応の丁寧な商品説明や、決済・配送に関する明確な情報提供もあり、海外ユーザーが安心して購入できる環境が整っています。
これらの取り組みにより、購買率の向上やリピーターの獲得につながっており、UXの最適化が越境ECにおける信頼構築と売上拡大の鍵となっていることがうかがえます。
参考:Fake Food Japan – 70+ Years in the Biz
「BENTO&CO」に見る多言語・多通貨対応とSNS活用術

日本のお弁当箱を世界に届ける「BENTO&CO」も、Shopifyを活用した越境ECの成功事例として注目を集めています。創業者のトマ氏は、母親との何気ない会話をきっかけにお弁当箱の魅力に気づき、多言語・多通貨対応のオンラインストアを立ち上げました。現在は英語・フランス語・日本語の3言語に対応し、100カ国以上への発送実績があります。
Shopifyの高い拡張性を活かし、通貨換算や翻訳のアプリを導入することで、世界中の顧客にストレスのない購入体験を提供。さらに、FacebookやInstagramといったSNSに加え、メールマーケティングにも力を入れています。
季節ごとのキャンペーンやコンテストを通じてリピーターを増やし、売上も着実に拡大。BENTO&COの取り組みは、小規模な事業者でも情熱と工夫次第で越境ECを成功に導けることを示す好例といえるでしょう。
参考:Bento&co. The Original Bento Lunchbox Shop.
成長市場を狙った「CS TOYS INTERNATIONAL」の発送オペレーション

日本の特撮玩具を海外に届ける「CS TOYS INTERNATIONAL」は、越境ECの成長市場を見据え、独自の発送オペレーションによって高い評価を得ています。Shopifyと連携し、注文ごとの梱包風景をYouTubeでライブ配信。また、梱包写真をFlickrに自動アップロードし、IFTTTを介してTwitterと連携させることで、透明性の高いサービスを実現しています。
顧客は、自分の注文がいつ、どのように梱包されたかを確認できるため、配送に対する不安が軽減され、信頼感の醸成にもつながっています。さらに、ShopifyのPOS機能を活用して海外イベントでの販売も実施。現地ファンとの接点を築き、ブランドの認知拡大にも寄与しています。
地道ながらも丁寧な対応がリピーターの増加を生み出し、越境EC成功の土台となっています。
参考:CSTOYS International at your service for Tokusatsu needs – CSTOYS INTERNATIONAL
まとめ:Shopifyで越境ECを成功に導こう
越境ECは現在、中小企業や個人事業者にとっても大きな成長のチャンスとなっています。Shopifyは多言語・多通貨への対応に加え、柔軟な決済・配送設定や豊富なアプリとの連携機能を備えており、海外展開をスムーズに後押しします。
本記事では、準備段階で意識すべきポイント、実際の成功事例、よくある失敗例を紹介しました。ユーザーの視点を大切にし、信頼性の高い環境を整えることで、越境ECの成功は十分に実現可能です。
Shopifyを活用し、今こそグローバル市場への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。