海外に販路を拡大する越境ECは、多くの日本企業にとって成長の好機となっています。ただし、言語や文化、購買行動は国ごとに大きく異なるため、日本国内と同じマーケティング手法では十分な成果を得ることが難しいのが現状です。

現地ユーザーのニーズを的確に捉え、その市場に合わせて戦略を最適化することが、売上拡大やブランド浸透の鍵を握ります。そこで今回は、ターゲット市場の選び方から、SNS・SEO・広告・UGCなどを活用した集客施策、さらには成功事例までを幅広く紹介します。

越境ECにこれから取り組む方はもちろん、既存戦略を見直したい方にも役立つ実践的なヒントをお届けします。

目次
  1. 越境ECにおけるマーケティングの重要性
    1. なぜ越境ECにマーケティング戦略が必要なのか
    2. 国内マーケティングとの違い
    3. 成果を最大化するには“戦略設計”がカギ
  2. 越境ECのターゲット市場の選定とリサーチ方法
    1. 海外市場選定で押さえるべき基本ステップ
    2. リサーチに役立つ主要データと情報源
    3. ターゲット市場別の需要と文化的特徴の見極め方
  3. 越境ECで有効なマーケティング戦略とは?
    1. 現地ニーズに応じたコンテンツマーケティングの活用
    2. SNS×インフルエンサーマーケティングの相乗効果
    3. 広告・SEO・UGCを組み合わせた多角的な戦略
  4. 国別に見る越境ECのプロモーションの違い
    1. 中国市場|インフルエンサーとECモールの活用が鍵
    2. アメリカ市場|SEO・レビュー・動画広告の信頼性が重要
    3. 東南アジア市場|SNSとモバイル決済で拡大する購買行動
  5. 越境ECで活用できる集客チャネルの活用術【SNS・SEO・広告・UGC】
    1. SNSマーケティング|国別に異なる活用戦略を押さえる
    2. SEO対策|多言語・多文化対応が鍵となる自然流入戦略
    3. 広告運用|費用対効果を高める多チャネル施策
    4. UGC活用|現地ユーザーの声が信頼を生む
  6. 越境ECのマーケティングが成功した企業事例
    1. 事例① Tokyo Otaku Mode|世界130カ国にアニメグッズを展開
    2. 事例② 株式会社ビィ・フォアード|アフリカ中古車市場で圧倒的シェア
    3. 事例③ Sazentea株式会社|欧米向けに日本茶と茶器を展開
  7. まとめ:戦略的なマーケティングで越境ECを成功させよう

越境ECにおけるマーケティングの重要性

越境ECにおけるマーケティングの重要性

越境ECで成果を上げるには、国や地域ごとに異なる文化や消費行動を踏まえた戦略的なマーケティングが不可欠です。日本国内と同じ手法では通用しない場面も多く、現地のニーズに最適化したアプローチが求められます。

ここでは、越境ECにおけるマーケティングの重要性について解説します。

なぜ越境ECにマーケティング戦略が必要なのか

越境ECを成功させるには、国ごとに異なる市場特性や消費行動を踏まえたマーケティング戦略が欠かせません。国内とは異なり、言語や文化、決済手段、広告チャネルなどが多様であるため、日本の手法をそのまま適用しても十分な成果は得られにくいのが実情です。

たとえば、SNSの利用傾向やインフルエンサーの影響力も国ごとに大きく異なります。こうした違いを正確に理解し、現地ユーザーに合わせて最適化された戦略を構築することで、商品やブランドの認知を広げ、購買行動へとつなげることができます。

市場調査から戦略立案、プロモーションまでを一貫して設計することが、継続的な売上拡大の鍵になります。

国内マーケティングとの違い

国内ECと越境ECでは、マーケティングの前提が大きく異なります。国内市場では、日本語や日本人の価値観に基づいた施策が中心です。一方で越境ECでは、言語や文化、商習慣、信頼性の築き方まで、国や地域ごとに対応を最適化する必要があります。

たとえば、SNSの利用傾向や購買プロセス、好まれる決済手段なども国によって大きく異なります。単一の手法では通用しないケースが多く、UI・UX設計や広告運用も現地ユーザーの行動パターンを踏まえて構築しなければなりません。

こうした違いを理解し、地域ごとに戦略を設計することが、越境ECを成功へと導く鍵になります。

成果を最大化するには“戦略設計”がカギ

越境ECで継続的に成果を上げるには、場当たり的な施策ではなく、全体を見据えた戦略設計が欠かせません。たとえば、国ごとに異なる消費者行動を把握した上で、SEO対策やSNS運用、インフルエンサーマーケティングなど、複数の施策を組み合わせて展開する必要があります。

また、UI・UXの最適化や、現地ニーズに即したコンテンツの作成も重要です。大切なのは、ターゲット市場のリサーチからプロモーション、カスタマージャーニーまでを一貫して設計し、自社のリソースと照らし合わせながら柔軟に最適化を重ねていくこと。

成果を最大化するには、個々の施策に頼るのではなく、全体を見通して戦略的に組み立てる力が求められます。

越境ECのターゲット市場の選定とリサーチ方法

越境ECのターゲット市場の選定とリサーチ方法

越境ECを成功に導くためには、まず進出先の市場を的確に見極めたうえで、丁寧なリサーチを行うことが重要です。市場ごとの文化的背景や消費行動、競合の状況を事前に把握することで、戦略の精度が高まり、マーケティングの効果も向上しやすくなります。

ここでは、ターゲット市場を選定するための視点と、信頼性の高いリサーチを行う手順について詳しく解説していきます。

海外市場選定で押さえるべき基本ステップ

越境ECで成果を上げるには、ターゲット市場の選定が極めて重要です。進出先を決める際には、次の基本ステップを押さえておく必要があります。

  • 市場規模や成長性を確認し、自社商材に対するニーズと将来性を見極める
  • 現地消費者の購買力(GDPや所得水準)を調査し、価格戦略の参考にする
  • 競合の存在や参入障壁の有無を調べ、自社が優位に立てるかを判断する
  • 文化や言語の違いを把握し、商品やマーケティング施策の現地適合性を検討する

これらの分析を丁寧に行うことで、事業リスクを抑えながら成果を最大化できる市場を選定することが可能になります。

リサーチに役立つ主要データと情報源

越境ECにおいてターゲット市場を正しく見極めるためには、信頼性の高いデータと情報源を活用した綿密なリサーチが欠かせません。まず、総務省やJETRO、世界銀行などが提供する政府統計を通じて、市場規模や所得水準、インターネット普及率といった基礎データを把握することが重要です。

加えて、StatistaやEuromonitorといった民間の業界レポートを活用すれば、消費者の行動傾向や競合状況、成長が見込まれる分野の情報も得られます。また、現地消費者へのアンケートやインタビュー、フォーカスグループなどによる一次調査を行うことで、より具体的なニーズや購買動機を把握できます。

こうした多角的なデータを組み合わせて分析することで、現地に即した戦略を立てやすくなり、事業リスクを抑えながら精度の高い市場進出が可能になります。

世界全体での越境EC市場の急成長についても把握しておくと、戦略設計の解像度がさらに高まりますので、以下の記事も参考にしてみてください。

ターゲット市場別の需要と文化的特徴の見極め方

ターゲット市場ごとに異なる文化や価値観を理解することは、越境ECの成否を左右します。たとえば、欧米では「個人主義」や「機能性」が重視される傾向にあり、対してアジア諸国では「家族志向」や「ブランド志向」が購買の動機に影響を及ぼします。

こうした文化的背景やライフスタイルの違いを正確に把握するためには、アンケートやインタビューなどの一次調査に加えて、競合分析や消費者レビュー、SNS上の反応も有効です。さらに、宗教や祝祭日、色やデザインの好みにも目を向け、商品やプロモーションの見せ方を現地に合わせて調整する必要があります。

市場ごとの文化やニーズを丁寧に分析すれば、より共感を得られるマーケティング戦略を築くことができます。

越境ECで有効なマーケティング戦略とは?

越境ECで有効なマーケティング戦略とは?

越境ECを成功させるためには、現地市場に合わせたマーケティング戦略の構築が重要です。国や地域によって、言語や文化、消費行動は大きく異なります。そのため、日本国内の施策をそのまま展開しても十分な成果は見込めません。

ここでは、現地ユーザーの心をつかむために有効とされる、コンテンツマーケティングやSNSとインフルエンサーの活用、広告・SEO・UGCを組み合わせた三位一体の施策について詳しく解説します。

現地ニーズに応じたコンテンツマーケティングの活用

コンテンツマーケティングとは、現地の文化や価値観に寄り添った情報発信を通じて信頼関係を築き、商品やサービスへの興味・関心を高めていく手法です。越境ECにおいては、日本とは異なる言語や嗜好、購買動機に対応したローカライズコンテンツの整備が欠かせません。

たとえば、現地のユーザーが共感しやすいストーリー性のある記事や、トレンドを反映した動画コンテンツを制作することで、自然な流入とエンゲージメントの向上が期待できます。さらに、検索エンジンやSNSでの拡散を意識し、異文化間の違いを踏まえた企画設計を行うことも効果的です。

SNS×インフルエンサーマーケティングの相乗効果

SNSとインフルエンサーを掛け合わせたマーケティングは、越境ECにおいて高い相乗効果を発揮します。SNSはグローバルに展開されているため、国境を越えた情報発信がしやすく、幅広い層へのリーチが可能です。さらに、現地の文化や言語に精通したインフルエンサーを起用することで、商品やブランドの魅力を自然に届けることができます。

特にZ世代やミレニアル世代は、企業広告よりも信頼できる第三者の発信に敏感です。SNS上の口コミや投稿が、購買行動に直結するケースも少なくありません。また、ライブ配信を活用した「ライブコマース」も注目されており、リアルタイムでの双方向コミュニケーションが購買意欲をさらに後押しします。

このように、SNSとインフルエンサーを戦略的に組み合わせることで、現地市場での認知度向上と売上拡大が期待できます。

広告・SEO・UGCを組み合わせた多角的な戦略

広告・SEO・UGC(ユーザー生成コンテンツ)を組み合わせた多角的な戦略は、越境ECにおける集客と信頼構築を両立させる有効なアプローチです。まずは、SNS広告やリスティング広告を活用して新規顧客との接点を広げ、ブランドの認知度を高めます。

次に、現地言語に最適化したSEO対策により、検索経由での安定した流入を確保します。そして、口コミやレビューといったUGCを積極的に取り入れることで、ユーザー視点での信頼性を高め、購買意欲を後押しできます。

広告による露出、SEOによる発見性、UGCによる共感と信頼。この三つを並行して展開することで、越境ECの成果を継続的に伸ばすことが期待できます。

国別に見る越境ECのプロモーションの違い

国別に見る越境ECのプロモーションの違い

国や地域によって文化や消費行動、利用されるチャネルは大きく異なるため、越境ECでは一律のプロモーション施策では成果を上げにくい傾向があります。成功を目指すには、現地の特性を踏まえたマーケティング戦略の設計が欠かせません。

ここでは、中国・アメリカ・東南アジアといった主要市場を例に挙げ、国ごとに最適化されたプロモーション手法の違いを具体的に解説します。

中国市場|インフルエンサーとECモールの活用が鍵

中国市場における越境ECの成功には、「インフルエンサーの活用」と「ECモール戦略」の両立が不可欠です。中国ではGoogleやInstagramが使えず、代わりにWeiboや小紅書(RED)、WeChatといった独自のSNSが主流となっています。これらと連携したライブ配信型のプロモーションは、非常に高い効果を発揮します。なかでも、影響力のあるKOL(キー・オピニオン・リーダー)を起用することで、信頼性の高い口コミとして商品を訴求できる点が魅力です。

また、中国では検索エンジンよりもECモール内検索の利用が一般的であり、AlibabaやJD.com、pinduoduoといった主要モールへの出店が重要となります。特に、低価格帯や共同購入の仕組みを取り入れたpinduoduoの存在感は年々増しています。これらの特性を踏まえたうえで、戦略的にプロモーションを設計することが、中国市場を攻略するための鍵となります。

中国市場に特化した戦略設計については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

アメリカ市場|SEO・レビュー・動画広告の信頼性が重要

アメリカ市場では、SEO対策、レビュー、動画広告の信頼性が購買行動に大きな影響を与えます。米国の消費者は、購入前に価格や商品情報を比較・検討する傾向が強く、Google検索を通じたSEO流入の最適化は欠かせません。

また、AmazonなどのECモールにおけるレビュー評価が購買決定に直結するため、ユーザーの信頼を得るレビュー管理も重要です。さらに、YouTubeやSNSを活用した動画広告は、商品の魅力を視覚的に伝える手法として有効で、ブランド認知や購買意欲の向上につながります。

特にミレニアル世代やZ世代に対しては、インフルエンサーとの連携やストーリーテリングを取り入れた動画コンテンツが効果的です。こうした施策を戦略的に組み合わせ、アメリカ市場に最適化されたプロモーションを展開することが、成功の鍵となります。

Amazonを活用した越境ECに興味がある方は、具体的な始め方や成功のポイントを解説したこちらの記事も参考になります。

東南アジア市場|SNSとモバイル決済で拡大する購買行動

東南アジア市場では、スマートフォンとSNSの普及が購買行動の拡大を強く後押ししています。特にインドネシアやタイ、マレーシアでは、若年層を中心にモバイル経由のEC利用が急増しています。SNS上の口コミやライブ配信による商品紹介が、購入のきっかけとなるケースも目立ちます。

加えて、モバイル決済の浸透も著しく、現地ではクレジットカードよりも電子決済サービスが主流になりつつあります。たとえば、GrabPayやShopeePayといった地域特有の決済手段に対応することで、スムーズな購入体験を提供でき、コンバージョン率の向上にもつながります。

このような背景を踏まえ、SNS施策とモバイル決済への対応を軸にした戦略的なプロモーション設計が、東南アジア市場で越境ECを成功させる鍵となります。

越境ECで活用できる集客チャネルの活用術【SNS・SEO・広告・UGC】

越境ECで活用できる集客チャネルの活用術【SNS・SEO・広告・UGC】

越境ECで集客を成功させるには、国や地域ごとの文化や消費行動に合わせたチャネルの選定と活用が欠かせません。SNS、SEO、広告、UGCといった施策を組み合わせることで、認知の拡大から信頼の構築、購買の促進までを一貫して行うことが可能です。

ここでは、各チャネルの特性と活用のポイントを整理し、成果につながるマーケティング設計のヒントを紹介します。

SNSマーケティング|国別に異なる活用戦略を押さえる

SNSマーケティングは、越境ECにおいて低コストかつグローバルに訴求できる強力な集客チャネルです。ただし、各国で主流となっているプラットフォームやユーザーの反応傾向には大きな違いがあります。たとえば、中国ではWeChatや小紅書、アメリカではInstagramやYouTube、東南アジアではTikTokやFacebookが多く利用されています。そのため、国ごとに最適なチャネルを選定することが重要です。

さらに、インフルエンサーやライブコマースと連携し、現地ユーザーの共感を得る取り組みも有効といえます。特にZ世代やミレニアル世代を対象とする場合は、企業による情報発信よりも、信頼できる第三者による投稿や口コミが購買行動に直結しやすい傾向にあります。現地の文化や価値観に寄り添った表現を心がけることが、成果につながる鍵となります。

各国のSNSトレンドを的確に把握し、戦略的に活用することで、ブランド認知の拡大と売上の向上を同時に実現できます。

SEO対策|多言語・多文化対応が鍵となる自然流入戦略

越境ECで自然流入を獲得するには、多言語対応と文化的配慮を備えたSEO戦略が欠かせません。現地の検索エンジンや検索傾向に最適化されたキーワード設計に加え、ネイティブの言語感覚に合った自然なコンテンツ作成が求められます。単なる翻訳ではなく、現地ユーザーの検索意図や購買動機に寄り添ったローカライズが重要です。

たとえば、中国ではBaidu、韓国ではNaverといった検索エンジンに最適化した対策が必要になります。また、宗教や文化的背景を踏まえた表現への配慮も不可欠です。こうした要素を欠いたコンテンツでは、ユーザーの共感や信頼を得るのは難しいでしょう。

短期的な広告施策に頼るのではなく、継続的な集客を実現するためには、現地市場に最適化されたSEO戦略の構築が、中長期的な越境EC成功の土台となります。

広告運用|費用対効果を高める多チャネル施策

越境ECにおける広告運用では、単一のチャネルに依存せず、複数の媒体を連携させた多チャネル戦略が費用対効果を高める鍵になります。たとえば、SNS広告やリスティング広告を活用して潜在層へアプローチし、ブランドの認知を広げた後、検索連動型広告やリターゲティング広告で購買へとつなげます。

広告クリエイティブには、現地の文化や価値観に即した表現を取り入れることが重要です。さらに、広告と連動したユーザー生成コンテンツ(UGC)を活用することで、消費者からの信頼を得やすくなり、広告効果の最大化が期待できます。

現地プラットフォームの特性や文化的な好みにも配慮し、継続的にPDCAを回しながら改善を図ることが、長期的な売上向上につながります。

UGC活用|現地ユーザーの声が信頼を生む

UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、越境ECにおいて信頼構築と購買促進の両立に寄与する重要な要素です。企業による広告発信に対して懐疑的な消費者が多いなか、実際のユーザーによるレビューやSNS投稿は「信頼できる情報源」として高く評価されています。特にZ世代やミレニアル世代では、購入前にUGCを確認する傾向が強く、こうした投稿が購買の後押しとなる場面も目立ちます。

さらに、UGCはユーザー視点のリアルな評価を収集できるだけでなく、コンテンツ制作にかかるコストの削減やSNS運用の効率化にもつながります。ただし、活用にあたっては投稿許可の取得やステルスマーケティングへの対策など、運用面での配慮も欠かせません。現地ユーザーの声を戦略的に取り入れることで、海外市場における信頼獲得と売上向上の双方を目指せます。

越境ECのマーケティングが成功した企業事例

越境ECのマーケティングが成功した企業事例

越境ECを成功させるには、国や地域ごとの特性に合わせたマーケティング戦略の最適化が重要です。ここでは、実際に成果を上げた日本企業の事例をもとに、SNSの活用やSEO対策、現地ニーズへの対応など、具体的な取り組みを紹介します。自社に適した施策を見極めるヒントとして、今後の戦略立案にご活用ください。

事例① Tokyo Otaku Mode|世界130カ国にアニメグッズを展開

Tokyo Otaku Modeは、日本のアニメやマンガ関連グッズを世界130カ国以上に販売する越境ECサイトです。自社ECの運営に加え、Facebookを活用した情報発信により、日本のポップカルチャーを海外へ広め、世界中のファンを獲得しています。特にSNSとの連携が巧みで、2018年時点でFacebookの「いいね!」数は2,000万を突破。投稿ではアニメやイベントの情報を発信し、商品ページへの自然な流入を促しています。

また、外国人スタッフによる自然な多言語対応や、物流の内製化といった工夫も導入。ユーザーにとって快適な購買体験を提供しています。SNSとECを戦略的に連動させたこの取り組みは、海外のファンとつながりを深めながら成果を上げた好例と言えるでしょう。

参考:株式会社Tokyo Otaku Mode

事例② 株式会社ビィ・フォアード|アフリカ中古車市場で圧倒的シェア

株式会社ビィ・フォアードは、日本の中古車を世界200以上の国と地域に販売する越境EC企業です。特にアフリカ市場では、圧倒的な存在感を示しています。自社ECサイトを中心に、SEOやリスティング広告を活用した海外向けマーケティングを展開し、2010年からの4年間で売上は約14.7倍に拡大しました。

さらに、現地にオフィスを設け、通関から配送までを一貫してサポートする体制を整えることで、顧客からの信頼を獲得しています。ステッカーやTシャツの配布を通じた口コミ戦略も奏功し、ブランドの認知度向上に貢献しました。

使いやすさと信頼性が評価され、越境ECとして国内トップクラスとなる売上1,000億円を突破しています。

参考:株式会社ビィ・フォアード

事例③ Sazentea株式会社|欧米向けに日本茶と茶器を展開

Sazentea株式会社は、日本各地の老舗から厳選した抹茶や茶器を欧米市場に向けて販売する越境ECサイト「Sazen tea」を展開しています。創業者がハンガリーで日本茶カフェを運営していた経験を活かし、「ホンモノを世界へ届ける」という理念のもと、品質と鮮度にこだわった商品を提供。英語サイトの改善とSEO対策に取り組んだ結果、自然検索による流入は7倍に増加し、売上も20倍に成長しました。

さらに、運用型広告や動的リマーケティング、丁寧なカスタマー対応も功を奏し、欧米の日本茶愛好家から厚い支持を獲得。商品力と誠実な姿勢を軸としたこの取り組みは、越境ECにおける理想的なブランディング成功例といえます。

参考:Sazen Tea

まとめ:戦略的なマーケティングで越境ECを成功させよう

越境ECの成功には、単なる商品展開にとどまらず、ターゲット市場に最適化された戦略的なマーケティング設計が欠かせません。国や地域によって文化や消費行動、活用すべきチャネルは大きく異なるため、自社の強みと市場特性を見極めたうえで、SNS・SEO・広告・UGCなどを効果的に組み合わせることが重要です。

成功企業の事例からは、現地ニーズに寄り添ったコンテンツ設計や、信頼構築の工夫が成果を生む鍵であるとわかります。自社に合った施策を見直し、継続的に成果を生む仕組みづくりに取り組んでみてください。

加えて、専門的な知見を持つコンサルティング会社の活用も、戦略を加速させる有効な手段です。以下の記事ではおすすめのコンサルティング会社を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。