アジア市場への越境ECは、多くの中小企業や個人事業主にとって、有望なビジネスチャンスとなっています。ただし、進出先によって消費者の志向や主要プラットフォームの特徴が異なるため、単に出店するだけでは成果につながりにくいのが実情です。
そこで今回は、中国をはじめとする東南アジア各国の市場特性や代表的なECプラットフォームについて詳しく紹介し、成功するために必要な戦略や注意点を整理しています。アジア展開を検討中の方は、次の一歩を踏み出す判断材料としてご活用ください。
アジア越境EC市場が注目される理由

近年、アジア越境EC市場への注目が高まっている背景には、東南アジア諸国を中心とした経済成長と、インターネットの急速な普及があります。特にスマートフォンの浸透やSNS文化の広がりにより、オンラインショッピングの需要が急増しています。中間所得層の拡大も著しく、購買力の上昇が越境EC市場の成長を後押ししています。
さらに、日本製品に対する信頼性や品質への高い評価、親日的な文化も追い風となり、日本企業にとって参入の好機といえるでしょう。ShopeeやLazadaといったモバイル特化型のプラットフォームが急速に普及し出店へのハードルが下がっています。決済手段の多様化や物流体制の整備も進み、こうした市場環境の変化が参入のしやすさを支えています。
このように、成長を続けるアジアの越境EC市場は、今まさに挑戦する価値のある有望な領域といえるでしょう。
国別に見るアジアの注目市場と特徴

アジア市場と一口にいっても、国ごとに消費者の志向や経済状況、ECインフラには大きな違いがあります。
ここでは、中国や東南アジア諸国を中心に、それぞれの国が持つ越境EC市場としての魅力と特徴を紹介します。どの国にどのような戦略で進出するべきか、次のステップを見極めるための判断材料としてお役立てください。
中国|巨大市場と高い競争力、戦略次第で成功の可能性
中国は世界最大級のEC市場であり、越境ECにおいても非常に大きな商機が広がっています。Tmall GlobalやJD.comなどの大手プラットフォームには膨大なユーザーが集まっており、日本製品は高品質というイメージから信頼を得ています。特に化粧品やベビー用品などは、現地で高い人気を誇るカテゴリーです。
ただし、競争環境は非常に厳しく、成功するには現地のニーズを的確に捉えた戦略が欠かせません。日本語によるサポートは基本的に提供されておらず、実際には代行業者を通じて出店するケースが多く見られます。物流や決済面はすでに整備されており、取引自体は比較的スムーズに進められます。
価格競争に巻き込まれずに売上を伸ばすには、ブランドの価値をしっかり伝えるマーケティングが不可欠です。現地パートナーとの連携を強化し、市場理解を深めたうえで取り組むことで、中国市場でも安定した成果が見込めるでしょう。
台湾|日本製品への信頼が厚く、リピート率も高い市場
台湾市場は、親日的な文化と日本製品への厚い信頼を背景に、越境ECにおいて高いリピート率が見込める有望な地域です。とくに日用品やコスメ、食品、家電といった分野では、日本ブランドに対する安心感が購買意欲を後押しする傾向が強く見られます。
主要なECプラットフォームには、PChomeやmomo購物網、Yahoo奇摩などがあり、24時間配送やスマートフォンに最適化されたUIによって、ユーザーの利便性が高まっています。代理店を通じた出店が一般的でありながら、手続きが比較的簡易であることから、越境ECを初めて導入する企業にも取り組みやすい環境といえるでしょう。
また、日本と近い文化や生活様式を持つ点も、マーケティング戦略のローカライズを進めるうえで有利に働きます。品質と信頼を軸に売上の継続的な拡大を目指す事業者にとって、台湾市場は戦略的な第一歩として検討する価値があります。
インドネシア|東南アジア最大の人口を活かした成長市場
インドネシアは東南アジア最大の人口を抱え、今後の消費拡大が見込まれる有望な成長市場です。2024年にはEC市場規模が約500億ドルに達すると予測されており、なかでもモバイルECの伸びが目立ちます。中間所得層の増加により日本製品への関心も高まり、家電、化粧品、日用品などの分野で需要が拡大しています。
主要なECプラットフォームにはTokopedia、Bukalapak、Shopee、Lazadaがあり、それぞれ異なる集客力や物流体制を整えています。日本語によるサポートは限られているものの、現地に強い販売代理店や物流パートナーを活用すれば、スムーズな参入も十分に可能です。
多様な文化的背景や決済手段に配慮した対応が求められる一方で、市場としてのポテンシャルは極めて高く、越境ECの戦略拠点として注目すべき国といえるでしょう。
ベトナム|若年層の多さとモバイルECの急成長
ベトナムは、人口のおよそ半数が30歳未満と若年層の比率が非常に高く、スマートフォンを活用したネットショッピングの利用が進んでいます。これに伴い、モバイルEC市場は急速に拡大しています。ShopeeやLazadaに加え、TikiやSendoといった国内発のプラットフォームも人気を集めており、競争が激しい中でも日本製品は高い信頼を得ています。品質を重視する消費傾向が根付いている点も特徴です。
さらに、インフルエンサーを活用したSNSマーケティングとの相性が良く、ライブコマース施策も成果を上げやすい傾向にあります。言語はベトナム語が中心ですが、現地代理店の活用やサポート体制の構築により、スムーズな出店も可能です。こうした成長性や親日的な文化を背景に、ベトナムは将来性の高い越境ECの進出先として注目されています。
フィリピン|SNS利用率世界トップクラスのデジタル市場
フィリピンは、SNSの利用率および利用時間が世界でも屈指で、ECとSNSを組み合わせたマーケティングに適したデジタル先進国です。総人口の約74%がSNSを利用しており、1人あたりの平均利用時間は1日3時間を超えるとされています。
このような背景から、ShopeeやLazada、TikTok Shopといったモバイル特化型のプラットフォームが若年層の間で高い支持を得ており、ライブコマースやインフルエンサーマーケティングとの相性も良好です。さらに、英語が広く使われているため、日本企業にとってはローカライズの負担が少ないという利点があります。
加えて、親日的な文化が根付いており、アニメや日本食などの人気も相まって、日本製品は現地で強い関心を集めています。SNSを戦略的に活用することで、フィリピン市場における越境ECの成果は一層高まるでしょう。
タイ|越境ECの物流整備が進む中核地域
タイは、東南アジアにおける物流とECの中心地として注目されています。ASEAN諸国を結ぶ地理的な利点に加え、LazadaやShopeeといったECプラットフォームが物流拠点を整備し、迅速かつ効率的な配送網を構築しています。国内インフラも発展を遂げ、都市部では即日や翌日の配送が一般化しています。
インターネットの普及率は88%と高く、購入の多くがスマートフォン経由で行われています。また、タイのECユーザーは価格よりも利便性や品質を重視する傾向にあり、日本製品との親和性が高い点も特徴です。タイ語でのローカライズ対応は求められますが、現地パートナーの活用により、展開のハードルは低く抑えられます。
こうした背景から、タイは物流と購買の両面で優れた環境が整っており、東南アジア市場における戦略拠点として有望な進出先といえるでしょう。
マレーシア|多民族国家ならではの多様なニーズ
マレーシアは、マレー系・中華系・インド系など多様な民族が共存する国家であり、その文化的背景が消費行動にも幅広い影響を与えています。このような市場では、商品ジャンルやプロモーションの設計に柔軟性が求められ、多様なニーズに応える戦略が重要となります。英語が広く通用するため、参入時のローカライズも比較的スムーズに進めやすい点が利点です。
また、ShopeeやLazadaといった主要プラットフォームの普及率が高く、スマートフォンを通じた購買が一般的なことから、モバイルを軸とした戦略が効果的です。さらに、宗教や生活習慣への配慮を踏まえたブランディングを行うことで、日本製品の品質や信頼性を強みとして浸透させやすくなります。
こうした特性を踏まえると、マレーシアは東南アジア市場における多様なニーズを理解する出発点として、戦略的な越境EC展開に適した国だといえるでしょう。
シンガポール|高所得層と先進インフラが魅力の戦略拠点
シンガポールは東南アジア屈指の経済および物流の中枢であり、購買力の高い富裕層が多く存在することから、越境ECの展開に適した拠点とされています。インターネットの普及率は96%を超え、1人あたりのGDPは日本のおよそ1.8倍とされておりオンラインでの購買活動も盛んです。
Shopee、Lazada、Amazonなど複数の大手プラットフォームが競い合い、モバイルユーザー向けのUIや多言語対応が充実している点も特筆されます。さらに、英語が公用語であることから、ローカライズの障壁が比較的低く日本企業にとっては初の越境EC展開にも取り組みやすい環境といえるでしょう。
加えて、現地には日本人駐在員や長期滞在者が多く、日本製品への信頼と親しみが購買行動に強く影響しています。シンガポールは、東南アジア全体へと事業を広げていくための戦略的な足がかりとしても有望です。
アジアで人気の越境ECプラットフォーム11選

アジア市場への越境EC展開を成功させるには、自社の商品やターゲットに合ったプラットフォーム選びが欠かせません。国ごとにユーザー特性や物流体制、決済方法も異なるため、事前の比較検討が重要です。
ここでは、中国・東南アジア・台湾を中心に、多くの企業が活用している人気プラットフォーム11選を紹介します。それぞれの特徴を把握し、自社に最適な販路選定のヒントを見つけてください。
プラットフォーム名 | 初期費用・販売手数料 | 対応国・展開エリア | 日本語サポート | ユーザー数・集客力 | 物流・配送体制 | モバイル対応・UI/UX | 決済方法 |
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Shopee | 無料/3.21〜11% | シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、台湾 | あり | 約6億人、若年層中心 | 自社物流・倉庫・返品対応 | モバイルファースト、ゲーミフィケーション要素あり | クレジットカード、QR決済、現地通貨対応 |
Lazada | 無料/1〜4% | インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム | あり | 約1.3億人、東南アジア最大級 | Lazada Logistics(倉庫30拠点) | AI翻訳、自動出品、UI最適化済 | クレジットカード、電子マネー、現地通貨対応 |
Tokopedia | 無料/カテゴリごとに変動 | インドネシア | なし | 月間3,800万人 | 提携物流業者13社、即日配送対応 | スマホ対応/操作性高 | 分割払い、QR決済、電子マネー、銀行振込 |
Bukalapak | 無料/1.5〜6% | インドネシア(BukaGlobalでマレーシア、シンガポールなどへ展開) | なし | 約1億人、B2B・C2Cにも強み | 地場配送・返品対応・独自物流あり | アプリUI優秀、モバイル重視 | 電子マネー、QRコード決済、後払い、現地銀行連携 |
Tmall Global | 有料(審査・契約金必要) | 中国 | なし(代行経由) | 月間7億人超 | 菜鳥物流・中国全土配送可 | アプリ連携、ライブコマースあり | Alipay、WeChat Pay、銀聯カードなど多様対応 |
JD.com | 有料/カテゴリで異なる | 中国全土 | なし(代行経由) | 月間3億人以上 | JDロジスティクス(無人配送・即配) | モバイルファースト設計 | Alipay、WeChat Pay、クレカ、銀聯カード |
Qoo10 | 無料/6〜10% | シンガポール、インドネシア、マレーシア | あり | 若年層・女性中心/月間数千万規模 | Qxpress(独自物流)、一括管理可能 | 販促機能多数、UIわかりやすい | クレジットカード、PayPal、銀行振込、電子マネー、現地通貨対応 |
Amazon(SG) | 無料/5〜15% | シンガポール | なし | 世界で約3億人(SGは数百万規模) | FBA(在庫・配送一括管理) | Amazonアプリで高機能/UI洗練 | クレジットカード、デビットカード、PayNow、電子マネーなど |
PChome | 無料/カテゴリで異なる | 台湾 | なし(代理店経由) | 安定した集客力、老舗の信頼感あり | 24h配送保証、倉庫完備 | 台湾市場に特化したUI設計 | クレジットカード、銀行振込、電子決済、代引き、現地通貨 |
momo購物網 | 無料/カテゴリで異なる | 台湾 | なし(代理店経由) | 女性中心、利用頻度高 | 翌日配送体制あり | モバイルファースト、UI快適 | クレジットカード、ATM振込、代引き、電子マネーなど |
Yahoo奇摩 | 無料/カテゴリで異なる | 台湾 | なし(現地法人・代行経由) | 月間数千万人規模、女性比率高 | 24h以内配送(台北8h以内) | 直感的でスマホ向きのUI | クレジットカード、ATM、電子マネー、代引き、現地通貨対応 |
Shopee

Shopeeは、シンガポール発の越境ECプラットフォームであり、東南アジア諸国および台湾の計7カ国に対応しています。初期費用がかからず、販売手数料も3.21〜11%と成果報酬型であるため、低コストでの参入が可能です。日本語による出店サポートが整っており、初めてでも安心して取り組めます。
約6億人のユーザーを有する圧倒的な集客力に加え、Shopee独自の物流網や倉庫サービスにより、現地配送や返品対応も円滑に行えます。さらに、モバイルファーストを前提とした設計で専用アプリの利便性も高く、ゲーム感覚で買い物できるUIやライブコマース機能が若年層から高い支持を得ています。
決済手段も豊富で、クレジットカードやQR決済、現地通貨にも対応しており、ローカルニーズに柔軟に応じる体制が整っています。東南アジア市場への越境ECの第一歩として、有力な選択肢となるでしょう。
出典:Shopee
Lazada

Lazadaは、アリババグループ傘下で展開されている、東南アジア最大級の越境ECプラットフォームです。対応国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6カ国で、1つの登録手続きで複数国への同時出品が可能となっています。初期費用はかからず、販売手数料も1〜4%と低く設定されており、コストを抑えて参入しやすい点が特長です。
日本語によるサポートが整っているため、越境ECが初めての事業者でも利用しやすい環境といえます。さらに、約1.3億人のアクティブユーザーを擁し、強力な集客力を誇るほか、AI翻訳機能やモバイル端末向けに最適化されたUIもユーザー利便性を高めています。
物流面では、30以上の倉庫を活用したLazada Logisticsの存在により、国内からの発送のみで東南アジア全域への配送を実現できます。加えて、現地通貨に対応した決済手段や多様な支払い方式が用意されており、地域ユーザーとの円滑な取引を支援しています。
参考:Lazada
Tokopedia

Tokopediaは、インドネシアを代表するECプラットフォームであり、ソフトバンクやアリババグループからの出資を受け、急成長を遂げたユニコーン企業として知られています。初期費用は無料で、販売手数料は商品カテゴリごとに異なります。対応国はインドネシアのみですが、月間アクティブユーザー数は3,800万人を超えており、高い集客力が魅力です。
日本語でのサポートは用意されていませんが、現地市場に合わせた多機能なUIと、モバイルに最適化された操作設計により、スマートフォンからでも快適に利用できます。また、物流面では複数の物流企業と提携しており、都市部はもちろん、地方への配送にも幅広く対応しています。
さらに、分割払い、QRコード決済、電子マネーなど、多様な決済手段を提供しており、インドネシアの購買習慣に即した柔軟な対応が可能です。こうした特徴から、インドネシア市場への進出を目指す事業者にとって、Tokopediaは非常に有力な選択肢となるでしょう。
参考:Tokopedia
Bukalapak

Bukalapakは、インドネシア発の有力なECプラットフォームで、BtoCとCtoCの両方に対応している点が特徴です。初期費用は不要で、販売手数料は1.5〜6%と低く設定されており、成果報酬型で出店できます。対応エリアはインドネシアが中心ですが、海外向けサービス「BukaGlobal」を活用することで、マレーシアやシンガポールなど他のアジア地域にも出品が可能です。
日本語でのサポートは提供されていないものの、モバイルファーストを意識したアプリ設計により、直感的に操作できるUI/UXがユーザーの使いやすさを高めています。物流面では地元の配送業者と連携し、地方への配送や返品処理にも柔軟に対応しています。
さらに、QRコード決済や電子マネー、後払いなど、多様な決済手段が整っており、現地のニーズを捉えたスムーズな購買体験が可能です。インドネシア市場に根差したローカル志向の運営姿勢が、このプラットフォームの強みといえます。
出典:Bukalapak
Tmall Global

Tmall Globalは、中国最大級のECモール「天猫(Tmall)」の越境EC専用プラットフォームであり、アリババグループが運営しています。初期費用はやや高めで、出店には審査と契約金が求められますが、信頼性の高い販売チャネルとして多くの有名ブランドが採用しています。
対応国は中国のみです。日本語による公式サポートは用意されていないものの、代行業者を通じた出店方法が広く利用されています。月間アクティブユーザーは7億人を超えるとされ、特に化粧品やベビー用品、食品など日本製品への需要が根強くあります。
物流面では、アリババグループの「菜鳥ネットワーク」を活用した倉庫・配送支援により、中国全土への迅速な配送が可能です。スマートフォン経由での利用が一般的となっており、モバイル最適化が進められています。また、ライブコマースなどの販促機能も豊富に備えられており、現地通貨や各種電子決済にも対応しているため、スムーズな購買体験を提供できます。
出典:Tmall Global
JD.com

JD.com(京東商城)は、中国EC市場においてTmallに次ぐシェアを誇る大手プラットフォームであり、直販型モデルによる高い信頼性と迅速な配送体制が強みです。初期費用が必要で、販売手数料は商品カテゴリによって異なりますが、品質管理や物流を重視する企業にとっては魅力的な選択肢となります。
対応エリアは中国全土で、日本語によるサポートは基本的に提供されていないため、出店には代行業者を利用するのが一般的です。月間アクティブユーザー数は3億人を超えるとされ、特に家電や日用品、美容家電といったカテゴリーで高い人気を集めています。
自社物流サービス「JDロジスティクス」を活用すれば、無人配送や即日配送といった先進的な配送も実現可能です。アプリはモバイルファーストで設計されており、快適な購買体験を提供しますまた、WeChat PayやAlipayなど、多様な決済手段にも対応しており、中国市場でブランド力と信頼性を重視した展開を図る企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。
参考:JD.com
Qoo10

Qoo10は、eBay Japanが運営するアジア市場向けのECモールであり、特にシンガポール、インドネシア、マレーシアでの展開に強みを持つプラットフォームです。初期費用は無料で、販売手数料は6〜10%の成果報酬型となっており、コストを抑えて始められます。日本語によるサポートが用意されているうえ、管理画面も日本語に対応しているため、越境ECに初めて取り組む方でも安心して活用できます。
さらに、1つのアカウントで複数国へ出店でき、自社物流サービス「Qxpress」により国際配送の手続きも一元管理が可能です。操作画面はモバイルに最適化されており、豊富な販促機能を活用することで、若年層や女性層の購買意欲を高められます。加えて、現地通貨への対応や為替の自動変換機能、多様な決済手段を提供することで、ユーザーにとってもスムーズな購入体験が実現されています。
参考:Qoo10
Amazon

Amazonは世界最大級のECプラットフォームであり、東南アジアでは主にシンガポール市場に対応しています。初期費用はかかりませんが、販売手数料はカテゴリーによって異なり、5〜15%の範囲で設定されています。日本語によるサポートは用意されていないものの、グローバルセリングを利用することで海外展開がスムーズに進められます。
世界中に約3億人のユーザーを抱えており、その高い信頼性とブランド力によって強力な集客力を誇ります。物流面では、FBA(フルフィルメント by Amazon)を活用すれば、在庫管理から配送、カスタマー対応までを一括で任せることが可能です。また、UI/UXはモバイルファーストで設計されており、Amazonアプリを通じて快適な購買体験を実現しています。
さらに、クレジットカードや各種電子マネーに加え、現地通貨での決済にも対応しているため、国際展開においても信頼性の高いプラットフォームとして安心して利用できます。
参考:Amazon
PChome

PChomeは、台湾を代表する老舗のECプラットフォームとして高い信頼を得ており越境ECにおける有力な選択肢のひとつです。初期費用や月額料金は不要で、販売手数料は商品カテゴリに応じて異なります。対応エリアは台湾国内に限られており、日本語によるサポートは基本的に提供されていません。ただし、代理店や商社を通じた出店が一般的で、スムーズな参入が可能です。
PChomeは、自社倉庫や24時間対応の物流体制を整えており、迅速な配送が評価されています。特に「PChome24h購物」では、注文から24時間以内の配送を基本とし、遅延時にはポイントによる補償が行われるなど、顧客満足を重視したサービスが特徴的です。スマートフォン向けアプリは高機能で、台湾市場に最適化されたUI/UXが安定したモバイル体験を支えています。
また、現地通貨での取引に対応し、クレジットカード、銀行振込、電子決済など、主要な支払い手段を幅広く取り揃えているため、安心して販路を拡大できる台湾向けのプラットフォームとして注目されています。
参考:PChome
momo

momo(momo購物網)は、台湾の富邦グループが展開する大手ECプラットフォームであり、特にコスメやファッション、日用品の分野で高い支持を集めています。初期費用は不要で、販売手数料は商品カテゴリごとに異なります。対応エリアは台湾国内に限られ、日本語サポートは提供されていませんが、現地代理店を通じた出店が一般的な方法とされています。
女性を主な購買層とし、定期的なセールやクーポン施策を積極的に実施しています。また、スマートフォンアプリはモバイルファーストを意識して設計されており、直感的な操作性によって快適なショッピング体験が可能です。物流体制も整備されており、翌日配送に対応しているため、スピーディな対応が期待できます。
決済方法については、クレジットカードやATM振込、代金引換、電子マネーなど多様な手段が用意されており、台湾の消費者ニーズに幅広く応えています。台湾市場に特化した販路を探している事業者にとって、有力な選択肢となるプラットフォームです。
参考:momo
Yahoo奇摩

Yahoo奇摩(ヤフーキモ)は、台湾最大級のポータルサイトが運営するECプラットフォームであり、BtoC・BtoBtoC・CtoCといった多様な販売形態に対応しています。初期費用は不要で、販売手数料は商品カテゴリによって異なります。対応エリアは台湾国内に限られ、日本語によるサポートは基本的に提供されていませんが、現地法人や代行業者を通じた出店が一般的とされています。
月間の訪問者数は数千万人規模とされており、とりわけ女性ユーザーの利用が目立ちます。家電や美容、ファッションといった分野に強みがあり、購買意欲の高い層への訴求が可能です。物流面では24時間以内の配送が基本で、台北市内では最短8時間以内の即日配達にも対応しています。
アプリやモバイルサイトは直感的な操作性を意識したモバイルファースト設計となっており、ユーザーにとって快適な購入体験を実現しています。さらに、クレジットカード、ATM、電子マネー、代引きなど多彩な決済手段に対応しており、台湾市場への本格進出を検討する企業にとって有力な選択肢となり得ます。
参考:Yahoo奇摩
アジア越境ECにおける注意点

アジア市場は魅力的な販路である一方、国ごとの文化や制度の違いが成功の障壁になることも少なくありません。越境ECで成果を上げるには、こうした違いを事前に把握し、丁寧な対応を進めることが重要です。
ここでは、アジア進出における注意点を整理し、次に進むための準備として押さえるべきポイントを紹介します。
関税・禁制品・規制の確認は国別に確認する
越境ECでは、関税や禁制品、法的規制が国によって大きく異なるため、進出前に各国の制度を把握することが重要です。たとえば、同じ化粧品であっても、ある国では関税がかからない一方、別の国では高関税が課されるうえ、販売許可の取得が求められる場合があります。また、文化や宗教の影響によって、特定の素材や成分が禁制品に該当するケースも見受けられます。
通関時に問題が生じると、配送の遅延や想定外のコストが発生するおそれがあるため、事前に商品ごとの関税率や輸入規制を確認し、必要に応じて現地パートナーや専門家の助言を受けることが望ましいと言えます。スムーズな取引を実現し現地との信頼関係を築くには、各国の制度に対する正確な理解と丁寧な対応が求められます。
現地決済手段と通貨対応へ備える
アジア市場で越境ECを成功させるには、現地の決済手段と通貨対応への配慮が欠かせません。各国で主流の決済方法は異なり、たとえばフィリピンでは現金払いのニーズが根強く、マレーシアやシンガポールではデビットカードやQR決済の利用が広がっています。クレジットカードに加え、電子マネーや後払い、銀行振込など幅広い選択肢に対応すれば、購入機会の損失やカゴ落ちのリスクを軽減できます。
さらに、現地通貨での金額表示はユーザーに安心感を与えるため、為替自動変換や多通貨対応の機能を備えたプラットフォームの選定も重要です。決済体験の快適さは、ユーザー満足度やリピート率の向上にも大きく影響します。
文化・消費行動の違いに合わせた販売戦略を練る
アジア各国は、宗教観や価値観、購買習慣に大きな違いがあるため、越境ECでは一律の販売戦略が通用しにくい傾向にあります。たとえば、イスラム教徒の多いマレーシアではハラル認証の有無が購買の判断材料となりやすく、英語が広く使われているフィリピンやシンガポールでは英語表記とSNSを活用したマーケティングが効果を発揮します。
さらに、ラマダンや中華新年といった現地特有の行事も、販促における重要なタイミングとなります。こうした文化的背景や生活様式を十分に理解し、それぞれの国で求められる価値やトレンドに合わせた商品訴求やクリエイティブ設計を行うことが重要です。現地のユーザー目線を取り入れた戦略を展開することで、信頼や共感を得やすくなり、結果として売上の向上とブランド認知の拡大につながります。
言語対応とカスタマーサポート体制を構築する
アジア各国に越境ECを展開する際には、言語対応とカスタマーサポートの整備が信頼構築の鍵となります。英語が通じる地域もある一方で、ベトナム語やタイ語、インドネシア語といった現地語での対応が求められる市場も存在します。そのため、ターゲット国に応じた翻訳の精度向上や表記の最適化は不可欠です。
さらに、商品に関する問い合わせやトラブル対応においては、現地時間や言語に合わせたサポート体制を用意することが、購入後の安心感や顧客満足の向上につながります。現地スタッフの配置やチャットボットの導入、日本語対応のプラットフォーム活用など、自社の体制やリソースに合わせた方法で対応力を高めていくことが重要です。
物流・配送スキームの整備と費用管理を徹底する
越境ECでアジア市場に参入する際には、物流・配送体制の整備とコスト管理が成功の鍵を握ります。配送スピードや送料は購入率に直結するため、現地に倉庫拠点を持つプラットフォームの活用や、信頼性の高い物流パートナーとの提携が求められます。たとえば、ShopeeやLazadaでは自社の物流網が整備されており、現地配送や返品対応にも対応しやすい環境が整っています。
一方で、配送コストや関税、返品時の負担などを含めたトータルコストの把握も欠かせません。国ごとに異なる物流事情や配送ニーズに応じて柔軟なスキームを設計し、無駄なコストを抑える工夫が必要です。こうした施策により収益性を高められるだけでなく安定した配送体制を構築することで、顧客満足度やリピート率の向上にもつながります。
アジア市場で成功する越境EC戦略とは?

アジア市場で越境ECを成功させるには、単にプラットフォームに出店するだけでは不十分です。国ごとの文化や消費行動を理解し、モバイル環境やSNSの活用、販路戦略などを最適化することが不可欠です。
ここでは、アジア地域に適した具体的な施策や展開方法について、実践的な視点から解説していきます。
現地SNS・インフルエンサーを活用した集客施策を行う
アジア市場ではSNSの普及率が非常に高く、特に若年層を中心にインフルエンサーの発信が購買行動に強く影響しています。このため、現地のインフルエンサーやKOL(キー・オピニオン・リーダー)を活用したマーケティングは、集客面で非常に有効です。たとえば、TikTokやInstagram、Facebookといったプラットフォームを通じたプロモーションやライブコマースは、商品の認知度を高めつつ販売促進にもつながります。
さらに、インフルエンサーとのコラボレーションにより、広告色を抑えながらターゲット層に自然な形でアプローチできる点も利点です。信頼関係の構築にも貢献することから、消費者との距離を縮める効果が期待できます。ただし、成功の鍵を握るのは現地文化や消費者心理に精通した適切なパートナーの選定です。国ごとの特性を踏まえたSNS戦略を検討し、自社に最適な展開を見極める必要があります。
モバイルECを前提としたUI・UX設計を行う
アジア諸国ではスマートフォンの普及が進んでおり、多くのユーザーがモバイル端末を通じてECサイトを利用しています。このような背景から、越境ECにおいてはモバイルファーストの視点でUIやUXを設計することが求められます。
画面遷移を最小限に抑え、読み込みを速く保ち、直感的に操作できる構成にすることが、購入率を高めるための鍵となります。とくにShopeeやLazadaなどの主要プラットフォームでは、アプリを中心にスマートフォン特化型の機能が充実しており、ライブコマースの導入などがユーザーの利便性を高めています。
自社サイトを併用する場合にも、スマートフォンでの閲覧を前提にデザインや操作性を工夫する必要があります。指一本で完結する操作性を意識しつつ、各地域の文化や購買傾向を考慮した設計を行うことで、ユーザーにとって快適な購入体験を実現できるでしょう。こうした工夫は、リピート率の向上や顧客満足度の改善にもつながります。
プラットフォーム+自社サイトのハイブリッド戦略で最適化を図る
アジア市場における越境ECの成功には、モール型プラットフォームと自社ECサイトを併用するハイブリッド戦略が有効とされています。ShopeeやLazadaといったモール型は、高い集客力を活かした販路拡大に適していますが、ブランディングや顧客データの蓄積には限界があります。
そこで、自社サイトもあわせて構築することで、ロイヤル顧客の囲い込みや柔軟なキャンペーン展開が可能となり、リピート率や利益率の向上が見込まれます。はじめはモールで認知度を高め、一定の評価を得た段階で自社サイトへ誘導する流れを整えると効果的です。両者の特性を踏まえ、それぞれの利点を活かした販売チャネルを構築していくことが、持続的な成長への鍵となるでしょう。
まとめ:アジア市場の特性を理解し、越境ECで持続的な成長を目指そう
アジア市場における越境ECでは、各国の文化や消費行動、インフラ環境に応じて柔軟に戦略を組み立てることが成功の鍵となります。とくに中国や東南アジア諸国では、日本製品に対する信頼が厚く、高い購買意欲も相まって、有望な販路が広がっています。一方で、決済手段や物流体制、言語対応など、国ごとに異なる課題への対策が不可欠です。
まずは、それぞれの市場特性を丁寧に把握し、自社の商品に適したプラットフォームと販売手法を見極めることが大切です。ローカライズ対応やSNSの活用といった工夫を積み重ねることで、継続的な売上の向上とブランドの定着につなげていきましょう。
また、越境EC事業を本格的に拡大したい場合、専門家のサポートを受けることも重要です。越境EC支援に強みを持つコンサルティング会社について、詳しく紹介した記事もあわせてご覧ください。